歴史の転換点となったBlack Lives Matter、創始者が語る「人種差別抗議」の真意

ジョージ・フロイド死後の6月初旬、ブルックリン橋を渡るデモ隊の行進。(Photo by Anthony Geathers for Rolling Stone)


アメリカを「軍国主義」から立て直すために

しかしながら、調査の結果も企業のプレスリリースも命を救うことはない――また、プロテストもそれだけでは命を救わない。黒人の命を気にかけもしない国を建て直すためには、抜本的かつシステム全体にわたるアメリカの警察活動の改革がなければならない。しかしBLMがメインストリームとなれば、解放運動の要求を高める助けになる。もしアメリカが黒人の命が過度に脅かされていることを認めたら、今度は何が、誰が彼らを脅かしているのかについて語る必要がある。ノースカロライナ州立大学で教鞭をとる歴史家のブレア・L・M・ケリーはこのように語る。

「私たちはいまだ、命が守られるために私たちが経験する必要のある変化から遠ざかったままです。けれども、同時に、(BLMは)何が可能であるかの下限を押し上げてくれました」

フロイドの死以来オーガナイザーたちが掲げた要求を見れば、それは一目瞭然だ。批判者は警察権力の漸進的な改革プランを退け、あざ笑ってきた。しかし、かつてはもっと過激だと見なされた、警察に対して「資金援助停止」し、リソースを他のコミュニティプログラムへ振り替えるといった変化を受け入れるようになったのだ。

「これこそあなたがたが望むものです。自分たちのラディカルな要求を普及させたいのでしょう」とカラーズは語る。彼女は現在、人権団体Reform L.A. Jailsの議長を務めている。

「そうすれば、その要求は実行可能になる。もうあなたのところの現職議員も、監獄への35億ドルもの予算を切るのに怯えることもなくなります。なぜって、他の人もみんな、メンタルヘルスに問題を抱えた何千もの人間を檻のなかに閉じ込めるだなんて、もはや良いアイデアではないと言っているわけですから」


5月30日にシカゴで起きた抗議デモで、プロテスターと警察が衝突。(Photo by Jim Vondruska/NurPhoto via Getty Images)

アトランタのキング・センターのCEOであり、マーティン・ルーサー・キング牧師の娘であるバーニス・キング牧師は、彼女の父親が晩年、軍産複合体からの資金引き上げとコミュニティへの再投資を率直に擁護していたことについて、このように語る。

「私たちの警察がいっそう軍事的になってしまったからには、私たちは資金を振り分け直す必要があります。私たちの社会にとってもっと重要な、教育や健康、そして環境といった社会問題にお金をあてるようにしなければなりません。もっと突き詰めて言うならば、私たちは軍国主義から全面的に資金を引き上げて、私たちすべてをひとつの国家たらしめるイシューに再投資する必要があるのです」

50年前、アメリカは「法と秩序」――つまり法廷、警察、収監――に一時的な財政援助やフードスタンプ、社会保障と同じくらいのお金を費やしていた。しかし、ワシントン・ポスト紙が6月に報じたところによると、これらふたつのあいだの溝は、以来増大してきたのだという。今日、「法と秩序」に費やされる額は、金銭による福祉プログラムの2倍に達している。

それと同じ期間にわたって、アメリカ政府は組織的に黒人コミュニティへの援助を削減してきた。トメティは、レーガンからブッシュ親子、そしてトランプに至るまでの共和党選出の大統領のもとで、公的セーフティネットが削減されてきたことを引き合いに出す。とりわけトランプの大統領としての職務はしばしば、黒人の生存に対する無関心か、むき出しの敵意を明らかにしてきた。環境基準の引き下げから公衆衛生上の危機に対する意図的な失策に至るまで、トランプは有権者から委任された白人ナショナリズムの権能を利用してきた。その権能を彼にもたらしたのは、おそらく1972年のジョージ・ウォレス以来最も人種分断的な選挙キャンペーンだった。トランプは、呼吸器系の疾患をもたらすパンデミックのさなか、ホワイトハウスの外に集まった平和的なプロテスターに催涙ガスを噴射さえしたのだった。

トランプの人種差別的な政策やレトリックに関するあらゆる会話がそうであるように、この問題はトランプに始まることでもないし、トランプで終わりになることでもない。連邦レベルでも地域レベルでも、失敗は彼が当選するずっと前から始まっていたのだ。その失敗のひとつには、警察への金の流れを食い止めるにも身体的な暴力を削減するにも至らなかった生ぬるい改革も含まれる。結果として2015年以降、非武装の容疑者に対する発砲の全体的な割合は低下してきているにも関わらず、未だ警察は非武装の容疑者のうち白人の4倍の確率で黒人を殺害する傾向にある。

ハーバード・ケネディ・スクールの歴史家であるカリル・ギブラン・ムハンマドが、アメリカ人は短期的な改革以上の目標を持つ必要があると述べる理由はここにある。「私たちは、警察活動が削減された世界が実際どのようなものになるかを大きく考え直し、それについて語っていく必要があるのです。それは抽象的な考えではなくて、グリーン・ニューディール(再生可能エネルギーや地球温暖化対策に公共投資することで、経済再生と雇用創出を目指す政策)と関連するものであり、また公衆衛生に関わる労働者に対する投資の必要性に関連するものでもあります。それらはまた、私たちが暴力抑止(violence interruption)を行う助けになるものであるべきだし、公共の安全を維持するコミュニティ主導の取り組みであるべきだし、また警察に頼らなくともよいものであるべきです」

Translated by imdkm

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