「天国への階段」が生まれるまで「ブラック・ドッグ」と「レヴィー・ブレイクス」という堅固なブックエンドに挟まれる形で、光と闇の両方を備えた曲「
天国への階段」が収録されている。おそらく史上最も演奏されたロック・ソングであるが、ツェッペリンのオーディエンスは当初、この曲に対して懐疑的だった。
「『天国への階段』を初めてライブで披露したときは、“あいつらなんで『胸いっぱいの愛を』をやらないんだ”という雰囲気だったよ」とジョーンズは言う。「みんな自分たちが知ってる曲が好きだからね。やがて『天国への階段』もそういう曲になっていった」(プラントもまた、ツェッペリンのセットに『天国への階段』が加わった当初、観客たちは気を落ち着かせるために40回も瞬きをしていたと振り返っている)。
ヘッドリィ・グランジにいた全員が、ファーストテイクで完璧だと思った――ただし、ペイジを除いて。意識不明になるまで酔っ払わなければ匠の仕事を見せる彼は、もっと良くなるはずだと仄かした。録音アシスタントのリチャード・ディグビー・スミスは「ボーナムはその時点でムッとしていた」と明かしており、次のテイクではドラムをぶん殴るように叩きまくったという。採用されたのはセカンドテイクだった。ペイジが正しかったのだ。
「
天国への階段」は8分にわたる気まぐれな小旅行で、アコースティック・ギターと、(随所でハーモニーを奏でる)ジョーンズ演奏のリコーダーに始まり、エレクトリックの轟音がクライマックスを飾る。この曲は「バンドの本質を結晶化させたものだ」とペイジは言う。ツェッペリンのメンバーでもっとも懐古主義とかけ離れているプラントは、どこか素っ気なく「ナイスで、楽しくて、善良で、
ナイーブな小品」と評している。ペイジによると、彼はシニカルな最初の行から、ミステリアスだが楽観的な「内省と再生」の物語へと遡っていき、素早くほぼ瞬時に歌詞を書き上げていったという。「モロッコの麻薬のおかげだと思うよ」とプラントは冗談交じりに語っている。この曲を誇らしく思ったツェッペリンは、彼らにとって初めて、アルバムジャケットの内側に歌詞を印刷した(ペイジは19世紀後半に発行された「The Studio」という古いイギリスの美術雑誌からこの書体を見つけた)。ラジオ局はこの曲のエディット版を所属レーベルに要求したが、ツェッペリンが妥協することを拒んだため、DJたちは仕方なくフルで放送した(特にトイレ休憩へ行くときに)。