ザ・チェッカーズとザ・タイガースの解散ライブアルバムから考えるアイドル性と音楽性

ザ・タイガースは1969年のローリングストーンUS版3月1日号の表紙を飾ったことがある




ザ・チェッカーズの解散コンサート武道館ライブ「FINAL」から、アンコール最後の曲「Rainbow Station」をお聴きいただきました。最後のアルバム『BLUE MOON STONE』の最後の曲。このライブアルバムは、私も28年ぶりに聴いたんです。このライブアルバムはなかなかリリースされなかったんじゃないかな。出てもファンクラブ限定みたいな記憶があって聴く機会がなかったんですよ。今回ライブ盤特集をやるということで改めて聴いて、いやー、いいライブだなと思いました。実はこの後があったんです。収録は終わってたんでしょうけど、お客さんがなかなか泣き止まない。藤井郁弥さんが客席に向かって「お前らガキだな、エイズに気を付けろよじゃあな」と言って去った記憶があります。お聴きいただいたのは、1992年12月28日、ザ・チェッカーズ武道館解散ライブから「Rainbow Station」でした。



「J-POP LEGEND FORUM」ライブ盤特集Part4。今週はザ・タイガースとザ・チェッカーズ、2枚の解散武道館ライブアルバムをお聴きいただきました。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。ザ・タイガースとザ・チェッカーズ、こんな風に同じ武道館で行われたライブ盤を一緒に聴く。これは自分でもいいアイデアだったなと改めて思いました。アイドル性と音楽性というのは、ポップミュージックの永遠のテーマですからね。ビートルズもストーンズも最初は女の子ですよ。あのシェエスタジアムのライブ映像を見れば、ビートルズがどういうバンドだったかよく分かります。『小さな恋のメロディ』という映画があって、主人公の女の子がミック・ジャガーのポスターにキスをするというシーンがありました。皆アイドルだった。そこから大人になって、バンドとして成熟して音楽性を高めていったわけですね。ザ・タイガースとザ・チェッカーズの間には20年間の時間があります。この間にコンサートの環境とか、音楽を取り巻くリスナーの意識とか、バンド自体の考え方とかやっぱり変わったんだな、音楽は成長したんだなということを感じさせる2枚だったのではないかなと思います。それぞれの時代の青春です。1960年代の終わりにロックに憧れたバンドに夢を描いたザ・タイガース、そして1970年代から1980年代、キャロルに刺激されてバンドを始めたザ・チェッカーズ。それぞれが皆時間を重ねております。ザ・タイガースは東京ドームで復活公演を行いました。郁弥さんは武道館公演の回数が歴代3位、矢沢永吉さん、松田聖子さんに次ぐんじゃないかな。今は無観客という新しい、止むを得ずの試みではあるんでしょうが、やっぱりライブにはこういう悲鳴のような歓声があって欲しい。これがライブだなという魅力が、解散公演にはよく刻まれております。一番美しいライブが解散ライブなのかもしれません。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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