性的コンテンツの配信で急成長した会員制SNS、立役者であるセックスワーカーの不満

セックスワーカーたちが懸念していること

懸念の根本には、セックスワーカーがソーシャルメディアプラットフォームから駆逐されるのでは、という不安がある。こうした不安には根拠がある。これまでにも前例として、性的コンテンツを歓迎していたプラットフォームが、突然背を向けたことがあった。例えば、お色気系や性的コンテンツの温床だったTumblrは、利用規約にこうしたコンテンツの禁止を明言するようになった。Patreonをはじめとするクラウドファンディングプラットフォームも、決済業者からの圧力でアダルトコンテンツ・クリエイターの締め出しにかかった。

そして今、セックスワーカーたちはOnlyFansも同じ道を歩むのではと懸念している。SESTA/FOSTAのような法令――アダルトコンテンツ・プラットフォームに厳しい制約を課す法律――のせいで、「法的視点からみれば、OnlyFansもセックスワーカーのいないプラットフォームを目指すほうがラクでしょう」と、Mistress Miaは説明する。ファンへのコンテンツ直接販売を希望するセックスワーカーには別の選択肢もあるが、現在OnlyFansが誇るユーザー数や知名度に適うところはほとんどない。

いまだ無効化や削除の憂き目に遭っていないクリエイターも、この数カ月で失望を味わわされたと言う。昨冬にOnlyFansのコンテンツが漏洩したことで、一部のセックスワーカーはプラットフォームの安全性に疑問を抱くようになった。一方、昨今の新規登録者の増加をうけ、ベテランのユーザーにとって大きな収入源だった紹介ボーナス制度が廃止されたことに怒る者もいる。「紹介制度こそ、OnlyFansの認知が広まった唯一の理由です。それがなかったらOnlyFansじゃない」と、アダルトコンテンツ・クリエイターのArron Lowe(仮名)はオンラインマガジンMotherboardに語った。

一方Awesomeはというと、OnlyFansとの一件は苦い経験ではないと言う。事実、今もこのSNSの大ファンだと語る。「アカウントがなくなると思ったときは焦りました。これまでに得た収入を失うからじゃなく、うんと稼げる可能性があるからです。OnlyFansでは本当にたくさん稼げるんですよ」と言って、実際に6桁近い売り上げを上げた友人がいるとも言った。「私の意見では、これほどいいプラットフォームは他にありません」

アダルトモデルたちがサイトを追われたのは、カスタマーサービスがプラットフォームの急成長についていけなかったのが原因であり、必ずしも会社側に悪意があったわけではない、とエヴァンス氏は考えている。「同社は(新規クリエイターの流入への)対処能力を強化する必要があります」。だが風俗業界には、成長を続けるOnlyFansが、プラットフォームの知名度アップに貢献したクリエイターにいつか背を向けるかもしれない、という懸念の声が上がっている。

「メインストリームのセレブが群がるようになったこと、プラットフォームへの監視の目が厳しくなったこと、他のプラットフォームの前例などを踏まえれば」、OnlyFansが結果的にアダルトコンテンツを全面禁止しても驚かないだろう、とロスフィールド氏は言う。すでに数人のアダルトパフォーマーのために、他のプラットフォームへの乗り換えを手伝ったそうだ。「OnlyFansはあまりにも急激に、大きく成長しすぎました」

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Translated by Akiko Kato

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