特定の場面で喋れないことに対する誤解、場面緘黙症とは?

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聞き慣れない病名や概念を耳にすると「なんでも新しく病名をつける」と揶揄する人もいますが、実はこの「場面緘黙症」という概念は、1934年には初期的な研究が発表されていて、1950年代以降には日本も含めていくつも研究がなされており、最近になって現れたものでも、歴史の浅いものでもありません。アメリカ精神医学会が定めた「DSM-5 精神障害の診断と統計の手引き」によると、以下のように定義されています。

A. 他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例:学校)において、話すことが一貫してできない。

B. その障害が、学業上、職業上の成績、または対人コミュニケーションを妨げている。

C. その障害の持続期間は、少なくとも1ヶ月(学校の最初の1ヶ月だけに限定されない)である。

D. 話すことができないことは、その社会的状況で要求されている話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。

E. その障害は、コミュニケーション症(例:小児期発症流暢症)ではうまく説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起るものではない。

特定の状況で「話したいのに声に出せない」状態の当事者が「家ではそんなにしゃべれるんだから、学校でも話しなさい」と言われたり、「甘えている」「わざと話さないのだ」と誤解されたりして、精神的にも追いつめられてしまうことがあります。場面緘黙症は家庭環境や親のしつけ等とも関係はありません。そして、脳の器質障害ではなく、社交不安症のひとつとして考えられる症状で、適切な治療的介入がなされると改善が可能です。しかし、「大人になったら自然と治る」などと言われ、適切な支援がなされないと、症状の改善が遅れ、うつやその他の不安症状などの二次障害が生じてしまいやすくなります。実際に、一見自然と治ったようにみえる人も、偶然環境が整い、本人が大変な努力をしているケースが多いのです。

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