新型コロナショック、危機的状況のコンサートビジネス

コロナウイルスが原因で、SXSWやコーチェラをはじめ多くのライブ音楽イベントが計画変更を余儀なくされた。(Photo Illustration images: Shutterstock, 3)

新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して、SXSWやコーチェラなどの大規模音楽フェスティバルは計画変更を強いられた。しかしライブ音楽業界全体の急激な路線変更により、さらなる混乱が起きようとしている。

コーチェラやSXSW等の大規模音楽フェスティバルや、パール・ジャム、マドンナら人気アーティストのコンサートの企画が突然仕切り直されたことは、ライブ音楽業界にとって既に大きな痛手だ。しかしこれらはさらなるカオスの始まりにすぎない、と予言する者もいる。

コロナウイルスに関連したイベントのキャンセルは、時々刻々と広がっているようだ。世界全体で260億ドル(約2.7兆円)規模のライブイベント業界は、固唾を飲んで状況を見守っている。ローリングストーン誌はブッキング、マネジメント、イベント施設に関わるいくつかの情報筋に取材を試みたが、状況がはっきりしないことに加えて対応方法を決めかねている組織もあり、コメントを得られなかった。先の状況が読めないという問題もある。米国政府のどの機関も、コロナウイルスの感染拡大による公衆衛生の危機がいつまで続くのか、具体的な見通しを立てていない。また、大人数が1ヶ所に集まる行為を禁じるべきだと主張する医療関係者もいる。

「もちろん、企業や組織が必要な感染抑制策を講じて夏頃までに収束してくれることを願っていますが、私たちはあらゆる状況に備えています」と、独立系レコードレーベルPartisanのゼナ・ホワイト社長はローリングストーン誌に語った。同レーベルには、ローラ・マーリングやブラック・エンジェルズらが所属している。「弱い立場の人たちを守るために出来る限りの努力をするのが、私たちの社会的責任でしょう。けれども明らかに今は、アーティストや独立系プロモーターのビジネスにとって大きなリスクです。将来のことは誰にもわかりません。でもぐずぐずしていれば、事態を収拾する機会も遠のくでしょう。」

Partisanは「全てのキャンペーンのオンライン対応化を強化すべく準備を整えている」という。つまり物理的な製品やサービスの投入なしに乗り切ろうというのだ。レーベルとして「ビジネスを維持するために新たな方法を模索している」と彼女は言う。一例として「中国のアーティストらが自宅のベッドルームにいながら、オンラインでフェスティバルを主催した」こともあるという。

2020年4月に開催が予定されていたコーチェラ・フェスティバルの延期は3月初旬から噂されていたが、10月の開催が正式に発表されたのは3月10日の夜になってからだった。関係筋によると、オーガナイザーはアーティスト側と数日間に渡って話し合ったという。出演予定のアーティストの多くは、秋にツアーの予定が入っていた。無名や中級のアーティストにとってコーチェラへの出演は知名度を上げるチャンスだが、半年の延期は彼らにとって特に痛手となるだろう。

Translated by Smokva Tokyo

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