動物性食品を食べないライフスタイル「ヴィーガン」と音楽カルチャー

海外のヴィーガンのシーンと日本のシーンの違い

ー海外のヴィーガンのシーンを見て思うことはありますか?

山口:海外は日本と比べると個人の選択の自由が多いと思います。ヴィーガンのライフスタイルを送ってる人も、送ってない人も、一緒の空間にいても違和感がないし、同じテーブルを囲んでいても、ヴィーガンの人もそうじゃない人も、一緒になって食事ができてる。普通の店に行っても、ヴィーガン・フレンドリーっていうのがあって、ヴィーガン・メニューが選べるんです。今はハンバーガー屋に行っても何種類かヴィーガン・バーガーがあるし、そのクオリティも高いんですよ。海外の代替食品の市場はスゴく大きくなってきていて、ハンバーガーのヴィーガンのパテにしても、ビヨンド・ミート、インポッシブル・バーガーは普通のハンバーガーと変わらないクオリティで、普通の人でも美味しく食べられます。

ー海外にあって日本に足りないと感じるものは?

山口:海外はストリート・カルチャーの中にヴィーガンのカルチャーが浸透してるなとは感じますね。だから若者がヴィーガンやベジタリアンのカルチャーに触れる機会がスゴく身近なんです。ライブ会場に行ってもヴィーガンのご飯が常にありますよ。そういう中に厳格に訴えてる人たちも、そうじゃないカジュアルな人たちもたくさんいるっていうのが、たぶん若者たちにも浸透しやすい理由の一つになってるんじゃないですかね。日本でももっとフレキシブルな人が増えればいいんじゃないかなと思います。そうすればヴィーガンとそうじゃない人たちの間の垣根も低くなって、もっとヴィーガン・カルチャーに興味を持ってもらえますからね。

ー普通の人にとって、ヴィーガンはハードルが高く見えるんですかね?

山口:たぶんそうだと思います。一般の人にそういうワードを出しただけで毛嫌いされることがありますから。攻撃的で厳格な印象が強いので、一方的に押し付けられるイメージはありますよね。あとは日本でヴィーガンの人が外食をしようと思うと、表参道辺りに行かない限り、まともなヴィーガンの食事を見つけることは困難ですから。みんなで食事に行く際に、一人だけヴィーガンだとその場がしらけるようなことにもなりますしね。海外のようにライフスタイルが多様化してくると、その辺の認知も変わってくるのかなとは思います。ヴィーガンの需要がないから一般のお店が取り入れにくいのか、ヴィーガン・メニューを取り入れる店が増えるとそういう人が増えるのか、どちらが先なのかはわからないですけど。

ー日常生活でお手軽にできるヴィーガン料理を教えてください。

山口:僕はパスタが好きなので、一番簡単なのは、フライパンにオリーブオイルとニンニクを炒めて。そこに冷蔵庫にある残りものの野菜を何でもいいから加えて炒めて、白ワインでも入れて、そこに茹でたパスタを絡めるだけで、オイルベース・パスタの出来上がりです。トマトソース・ベースなら、そこにトマト缶を入れて。クリーム系にしたかったら、豆乳を使ってもいいですし、アーモンドミルクがあれば、アーモンドミルクの方が分離しないので調理しやすいです。キノコを炒めてアーモンドミルクと絡めれば、キノコのクリームパスタの出来上がりです。

ー今まで食べたヴィーガン料理でスゴく美味しかったものは?

山口:ヴィーガン料理には、ソイミートなどを使った肉に似せる料理と、元々肉を使わないで完結している料理の2パターンがあるんです。僕が好きなのは、昔からイスラエルにあるファラフェルっていうひよこ豆のコロッケをピタパンで挟んで、ひよこ豆のソースをかけたファストフードですね。そもそも肉などの動物性のものが入ってないし、あえて肉っぽさの再現の必要がないので、普通の人でも違和感なく食べられます。肉に寄せようと思っていろいろアレンジしても結局、肉のシズル感というか旨味はさすがに超えられないので、ファラフェルのように、元々肉を使わないで完結して出来ている料理はやはり美味しいですね。


山口博久のバンド経歴

Endzweck
ギター。1998年に加入。2枚のミニアルバム、5枚のフルアルバムをリリースし、約1000本近くのライブと、ヨーロッパ、アジア、アメリカなど12カ国の海外ツアーを敢行し、2019年脱退。



ILL COMMUNICATION
ヴォーカル。2006年MY LOVEとして結成。2007年MY LOVE名義でCentral Plaza recordsからEPをリリース。2010年Cosmic Noteからフルアルバムをリリース。2012年解散。


Stand United
ギター。2012年東京Straight Edgeを掲げ結成。アメリカのSix Feet Under Recordsから7インチをリリース。2014年にボストンのAmerica’s Hardcore Festに出演し、2015年にはシアトルで行われたUSハードコア・フェス、RAINFESTに出演。
現在はStand United で活動中。
Instagram: @standunitedtyo





山口博久がヴィーガンの影響を受けたバンドまたはアルバム

Youth Of Today『We’re Not in This Alone』
音楽も思想もとても影響を受けたバンド。このアルバムの「No More」という曲が肉食に対する問題提起の歌で、MVも面白くて、ハンバーガーを食べている人が「僕にはもうコレは必要ない」ってゴミ箱に捨てるっていう内容になっています。




可燃引火『靴と僕』
ベジタリアニズムや、クリシュナ意識を元にした日本語詞に、ストレートなユースクルーの楽曲を反映させたスタイルに当時衝撃を受けたのを覚えています。


Earth Crisis『All Out War』
地球環境、アニマルライツについて怒っている強烈な歌詞で、インナージャケットの写真を見ても強面の人たちだったのですが、Earth Crisisが出演するフェスで僕がフード出店をしていて、食べてもらう機会があったんですが、とても優しい人柄でした(笑)。




山口博久オススメの店

FALAFEL BROTHERS

Ebisu
東京都渋谷区広尾1丁目1-36
TEL: 03-6427-3398

Roppongi
東京都港区六本木5丁目1-10
https://www.falafelbrothers.jp


AIN SOPH.ripple
東京都新宿区歌舞伎町2-46-8 日章ビル1F
TEL: 03-6380-3205  
http://ain-soph.jp/ripple/


NATARAJ
http://nataraj2.sakura.ne.jp/cafe3/

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