YouTubeが変えたドラァグカルチャー

Photos in illustration by Jordan Strauss/January Images/Shutterstock; Taylor Jewell/Invision/AP/Shutterstock



ドラァグクイーンの活動の場を大幅に広げたYouTube

「YouTubeは、これまでメジャーテレビ番組への道を阻んできた門番を回避して、自分たちを世に送り出す手段。重すぎるだとか、派手過ぎる、口が達者過ぎる、右に寄り過ぎ、左に寄り過ぎ、だとか言われて、門前払いを食らってきたからね」と、レディー・バニーも言う。「自分でコンテンツをアップロードして、それがバズれば、そこから色んな人達に発信できる。そういう点では、最初からすごく民主主義ね。『アーティストはこの人、作品はこれ』」


制作会社World of Wonder社の創設者で、『ドラァグ・レース』の制作総指揮を務めるランディ・バルバト氏とフェントン・ベイリー氏も同意見だ。YouTube以前、ル・ポールやディアンドラ・ピーク、シスター・ポーラといったクイーンたちは、公共ケーブルチャンネルぐらいにしか出られなかったと言う。「自分たちと同じように本当の自分らしく生きながら、従来のテレビ編成の典型にはそぐわないような人たちの話を聞きたい、と切に願う視聴者がいたんです」とベイリー氏はローリングストーン誌に語った。今日YouTubeのようなプラットフォームのおかげで、そうした視聴者の飢えは満たされつつある。

人気ドラァグパフォーマーのウィリアム・ベリは2007年にYouTubeデビューした。“YouTubeクイーン”なる単語が存在する前の時代だ。「暇つぶしには最高だと思ったの。ついでに注目も集められるかなって」と本人は言う。「チャンスを与えてくれる人を待ってた。でもあるとき自分でやっちゃえばいいって気がついたの、そうすれば誰かが見て、きっと見出してくれるだろうって。無邪気なところが私のトレードマークね」

ベリはキャリアを成功に導いたのはYouTubeのおかげだと言う。昨年には同じく『ドラァグ・レース』出身のシャンジェラと一緒に、ブラッドリー・クーパーが手掛けたアカデミー賞受賞映画『アリー/スター誕生』にも出演した。彼の一番の出世作「Boy Is a Bottom(男はケツ)」――アリシア・キーズの「Girl on Fire」のパロディで、ドラァグアーティスト仲間のデトックスとヴィッキー・ヴォックスも出演――は、2013年に公開して以来2400万回も再生されている。「YouTubeに投稿した動画のおかげで、Hamburger Mary’s[訳注:ドラァグショーも行われるアメリカのハンバーガーチェーン店]でやってたときには想像もしなかったような人たちと繋がることができた。動画を見て私をブッキングしてくれて、文字通り40カ国以上から何千というショーにお声がかかって、YouTubeのおかげで家が建ったわ」


Translated by Akiko Kato

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