YouTubeが変えたドラァグカルチャー

Photos in illustration by Jordan Strauss/January Images/Shutterstock; Taylor Jewell/Invision/AP/Shutterstock



ドラァグカルチャーへの圧倒的な影響力

ネットで広く拡散された動画が「2019年GIFアニメNo.1」の座に輝いたことで知られるジャスミン・マスターズは、YouTubeにあまり力を入れていない。「特にこれという目標もなく、ただ楽しみたかっただけ」と言うマスターズ(本名マーテル・ロビンソン)は、『ドラァグ・レース』でのデビュー戦のほんの数カ月前、2014年にYouTubeに参入した。最初の動画のタイトルは「女装で立ちション」。文字通りのことをしただけの動画だ。ベリのように、YouTubeのおかげで成功したと思うか、と尋ねると彼は笑った。「YouTubeは私のドラァグとは無関係。特に何かしてくれたなんてことはないわ」

第2世代ユーチューバーの一人とも言えるドラァグパフォーマーのソジュは、2016年にYouTubeのチャット番組『Shot With Soju』で動画デビューした。「『ドラァグ・レース』のお気に入りのクイーンがメディアに取り上げられるのを待ってるのに飽き飽きしちゃって、それで自分のチャンネルを立ち上げたの」と、ソジュことアントニオ・ヒュンソー・ハ氏は語る。「私のコンテンツを気に入ってもらえるかどうかなんて、全然気にしてなかった。ただ、私のカルチャーにどういう反応をするのか知りたかった。普段慣れているところから一歩出て、生のリアクションを見せてほしかったの。ドラァグ名の由来とか『ドラァグ・レース』に出た理由なんてよくある質問をする必要なんてないでしょ? 私はその人の素顔を知ることの方に興味があるの。 3年後の2019年、YouTubeでの人気をきっかけに『ル・ポールのドラァグ・レース』デビューを果たした。

ソジュはYouTubeがドラァグコミュニティを豊かにしてくれたと言う。クラブという閉ざされた空間からコミュニティを解放し、小さな町やアメリカ以外の国々の人々もグローバルな会話に参加することができるようになった、と。

だがレディー・ガガも歌っていたように、「綺麗なバラには棘がある」。「YouTubeは数年前から私のコンテンツの収益化を剥奪して、さらに全部の動画が不適切だって認定したの」と、ベリ。「私のウィッグ動画がなぜ“アダルト動画”にされちゃうわけ?」 彼1人だけではない。2019年8月、LGBTQ+のユーチューバーたちはYouTubeが「不法なコンテンツ規制・配信・収益化制度でLGBT原告団及びLGBTコミュニティ全般を差別、規制、黙殺、収益化を制限し、金銭的ダメージを負わせた」として、同社に集団訴訟を起こしている(YouTubeは全て否定した)。

それでも、たとえ同社が彼のようなクリエイターを差別しているとしても、ベリですらYouTubeの影響力は認めざるを得ない。「マジな話、毎回どのファン交流会でも必ず1人や2人はYouTubeで私を知って、それから『ドラァグ・レース』に出るまでずっと応援してました、って言うの。シェイン・ドーソンやトッドリックを通じて私を知った、という人がほとんどよ。私たちの未来は次の世代にかかっている……あとできればチャンネル登録もしてほしいわね」

Translated by Akiko Kato

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