スタークローラーが2ndアルバム『Devour You』を携え、12月初旬に来日ツアーを行う。生々しいロックンロールは大きく話題となり、昨年3月の初来日ツアーは軒並み完売。その数カ月後にはフジロック出演も果たした。そんな彼女たちのファンを公言しているのが掟ポルシェ。ロマンポルシェ。のボーカルにして大のアイドルオタクであり、カーカスなど極端なバンドに入れ込んできた彼が、名門ラフ・トレードが送り出すLA出身4人組の虜になった理由とは?きっかけは「身長と四肢の長さ」—掟さんがスタークローラーを知ったきっかけは?掟:男の墓場プロダクションっていう、杉作J太郎先生が主宰しているボンクラの集まりがあるんですけど、そこにアパッチってのがいて。そいつはパンクとか極端な音楽が大好きで、たまたま(スタークローラーの)動画を貼っていたんですよ。それを2017年の12月に見て、「なんじゃこりゃ!」と。
「おおおお明日死んでそうないい顔!!!!」と掟がツイートしていた、2017年6月アップの動画—そこから毎日動画を見まくってたそうですね。どこがよかったんですか?掟:まずルックスがヤバイ。ライブによっては拘束衣のまま歌っているし、異常性を素直に身に纏っている。しかも、アロウ・デ・ワイルド(Vo)の身長がものすごく高くて。
—188cmもあるんですよね。掟:もともと俺が付き合ってきた女の子も、自分より身長が高い人が多いんですよ。
—そうですか(笑)。掟:首が長いとかそういうポイントもすごく好きで。フリーキーでなおかつ美しくて、どこにもいない個性的なルックス。ロックンローラーとして、見た目がいいっていうのは何よりも重要なポイントですからね。だからもう、アロウ・デ・ワイルドを最初に見た時に「うわ、こんなかっこいいボーカルがいるバンドがいるんだ」って。もう見た目の段階で、世に出るべくして出てきたんだなっていうのはありますよね。
掟がiPadの待ち受けにしているアロウの画像。「この写真を見て『この人は何者なんだろう?』と思った」—掟さんは当時のツイートで、東京女子流・山邊未夢さんの“折り畳めない四肢の不便な美しさ”を思い出している、と表現していましたね。掟:そうそう、ちょっとこう……タカアシガニ的っていうんですかね? だいたい人間っていうのは、(普通の)人間とはかけ離れているほど惹かれたりするわけですよ。例えば、ギターの演奏がメチャクチャ早いとか、限界を超えて足が速いとか、そういう人に憧れてしまうものだと思うんです。まあ、武田鉄矢さんみたいに人間性のほうが大事って方もいるかもだけど。
—金八先生(笑)。掟:でも、ロックンローラーはそうじゃない。「いかに人間離れしているか」っていうのがウリだと思うんです。そういう意味で、アロウは身長と四肢の長さだけで、普通の人じゃありませんよって感じがビンビンに出ている。そこが山邊未夢さんと一瞬被ったっていうね。山邊さんは小学生の頃から見ているわけですけど、大人になってくるにつれて、身長が妙に伸びちゃってダンスがギクシャクしだして。それがなんともたまらなかったわけですよ。
—なるほど。掟:あと、「よく出来たものにはピンと来ない」っていうポイントもあるんですよ。誰よりも歌やダンスが卓越している、みたいなのが大事なのはわかる。でも、そういうんじゃない。もっとイビツな感じがロックには必要だと思うんだよね。