幼児による電子タバコの誤飲が米国で急増中

誤飲の原因と危険性

成人の読者、特に子を持つ親にしてみれば、数々の全国放送局で取り上げられたこのニュースはパニックを引き起こすには十分すぎるほど十分だ。すでに全米の関心事となった製品に対して恐怖を抱いているだけに、余計にぞっとさせられる。国立毒物情報システムのデータによると、12歳未満の子供がポッド型ベイプを誤飲・誤食・吸引した、あるいは液体ニコチンを摂取した件数はたしかに増加傾向にある。国立毒物情報システムからローリングストーン誌が入手したデータによれば、このような事故の報告件数は2016年(12歳未満の報告件数は2014件以上)から2017年(同様の報告は1619件)にかけて激減してはいるものの、2019年に再び増加に転じ、すでに1913件の事故報告がシステムに登録されている。

この増加傾向は非常に気がかりだ、とブライアン・ジェンセン氏は言う。フィラデルフィア小児病院の小児科医で、ペンシルベニア大学医学大学院の助教授だ。こうした報告の中には、なんでも口に入れたがる乳幼児の習慣が原因の場合もあるが、模倣が原因の場合もある、と彼は言う。「年上の兄弟や親が口に入れているのを見れば、子供も彼らを真似て吸ってみようとすることがあります」

ニコチン中毒の症状は多岐にわたる。それほどひどくない中毒の場合、発汗、吐き気、嘔吐、震え、動悸、息切れなどの症状が現れるが、重度の中毒となると、脳卒中や呼吸不全に至る場合もある。普通の大人なら1~2適摂取した程度であれば何の問題もないが、子供の場合、たとえほんの少量の濃縮ニコチンでも、非常に危険となりうる。ジェンソン助教授が言うには、電子タバコは規制されていないため、ニコチン濃度は製品によってかなり幅があり、中には、実際の宣伝内容よりも多量のニコチンが含まれている製品もある。だが2018年Pediatrics誌に掲載された論文によれば、体重1kg当たりわずか6.5~13mgの濃縮ニコチンでも死に至るには十分だという。これが現実のものとなった例が少なくとも1件、2014年12月に生後15カ月の乳児がニコチン中毒で死亡したという記録が残っている。

Translated by Akiko Kato

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