マジックマッシュルームがうつ病治療に効く?「幻覚剤ルネッサンス」の到来

米国の食品医療品局はマジックマッシュルームの研究を可能にする「画期的治療薬指定」を許可した。(Photo by Photofusion/Universal Images Group via Getty Images)

アメリカ合衆国史上初、うつ症状の治療を目的とした幻覚剤の使用が連邦政府によって近い将来承認される見通しだ。

先月、精神疾患治療の研究開発を行うイギリスのコンパス・セラピューティックス社より、アメリカの食品医療品局(FDA)が「画期的治療薬指定」と呼ばれるシロシビンを使った試験を許可したと発表した。シロシビンとはマジックマッシュルームの神経活性成分である。

幻覚剤を科学的に研究している先駆的な研究者たちはこれに賛同しており、彼らの研究分野にとってこれが大きな転換期となる。

「これは幻覚剤研究の歴史における大きな発展を象徴するものだ」と、カリフォルニア大学ロサンゼル校(UCLA)の精神医学と行動科学が専門のチャールズ・グロブ教授が言う。彼は2000年代半ばにUCLAでシロシビンの基礎試験を指揮していた人物だ。

グロブ教授を含む研究者たちにとって、今回FDAがシロシビンを承認したことはシロシビンだけの問題ではないと言う。すなわち、この承認は、幻覚剤に対する連邦政府の見解に大きな変化が起きたことの現れでもある。研究者が幻覚剤研究の許可を得たのが1990年代で、それ以前の彼らはウッドストック時代の因習打破主義者たちとの協力関係が仇となり、何十年間も科学分野から追放されていた。

2017年8月、FDAがMDMA(エクスタシーと混同しがちだが両者は異なる)を心的外傷後ストレス障害(PTSD)の画期的治療薬指定に認証したことが、時代の移り変わりを示唆した最初の出来事だった。現在、研究者たちはMDMAとシロシビンの認可を「幻覚剤ルネッサンス」の到来、つまり幻覚剤研究復活の予兆とみなし、やっと幻覚剤治療に対する認識が正しい方向に進み始めたと考えている。

幻覚剤学際研究学会(MAPS)の創立者で幻覚剤研究の先駆者であるリック・ドブリンは、2021年までにMDMAとシロシビンが合法化されると予測する。また、処方薬としては認証されないだろうが、「幻覚剤を使用する心理療法」の訓練を受けた療法士による使用は認可されるだろうと言う。シロシビンの場合、療法士や療法チームは、患者の心理面での準備を促すために、投薬でトリップする前に患者を診断することになる。投薬後は患者のトリップ状態(通常8時間前後)をモニターし、トリップ終了後も患者のケアを行う。

Translated by Miki Nakayama

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