Borisが追求するヘヴィさとは? エクストリームなポップサイド描く新作を語る

─世界をライブして回られているAtsuoさんから見て、受け手側の作品の受け取り方の変容を感じることはありますか。

Atsuo:音楽を聴くシステムが配信、サブスクリプションがメインになったり、聴き方/聴かせ方が変わっているんだから、感受性の有り方も変わって当然ですよね。そういうシステムの中でこその感受性の有り方も生まれていると思います。全ての情報がすごいスピードで通り過ぎて行く現代で、その瞬間瞬間に判断を強いられる。そういう時代では僕らみたいなイントロだけで3分もあるような楽曲の場合、全部聴かずに飛ばされることも起こりうる(笑)。状況的に自分達にマイナスなように見えますが、音楽ってそういう環境だけで聴かれているわけではないですよね。僕らのようにいろいろな国を回って、オーディエンスの前で大きな音を鳴らして体感して楽しんでもらう。こういう活動の仕方もある。そこで自分達の動員が増えていったり、求められていると感じる場面もどんどん増えてきているんです。



─Borisの動員が増えているきっかけや要因を、Atsuoさんはどう分析していますか?

Atsuo:その場でしか起こらないようなライブ制作をいつも心がけていて、それを観た心ある人が口伝てで広げてくれたりしているんじゃないかな。体験するということの面白さを。自分達の表現は、なかなかSNSやインターネットでは伝わらないんです。音の振動で体が震えたりするのって、YouTubeで観てもわからないじゃないですか。パソコンやスマホの画面では伝わらないことがあるということをみんなに知って欲しいですね。モニター画面で見聴きすること、その外側へ導いたり促したり、メディアや言論にそういう役割が求められてきていると思います。人がどこかに出かけて行ったり、出会ったりできるようなネットの使い方というか、ライターさんしかり、メディアの有り方が加速して欲しいですね。まあ、こういうやり方のバンドもいるよって少しでも知ってもらえたら。

─7月30日にZepp Tokyoで開催される〈大TRASH-UP!!まつり2019 AqbiRecといっしょ!〉のBorisのセット図を拝見させていただいたのですが、その機材の量に驚きました(笑)。

Atsuo:スタンダードなセットですよ? 多い時はもっと多いんです。

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─そうなんですか!? Borisに1番合ったものへと少しずつカスタムされていっていったものが、今の機材リストなんですか。

Atsuo:そうですね。新しい音楽はやはり新しいシステム、独自のシステムで鳴ってますよね。古いヴィンテージの機材も使いながら新しいシステムを組んでいるので維持もまあ大変です。まず重いし、運ぶのが大変(笑)。壊れたら手に入らないものもあるし、チューブアンプとかいつも修理代めっちゃかかるから(笑)。それに比べて、この間SAKA-SAMAの定期公演行ったけど、ステージの上何もないから本当にすごいなと思う。みんな体だけでそこで立ってる。 バンドってなんて効率悪いんだろう(笑)。

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