テラハ出演からカフェライブまで、怒涛の7年を過ごした住岡梨奈が音楽活動を休止する理由

活動を休止する理由

―シングルをたくさん出して、タイアップを取って大型フェスに出るのがいわゆるメジャーレコード会社の王道のパターンの一つですけど、そういう経験を経て住岡さんは2016年以降、小さい会場でもっとお客さんと近い距離でイベントの回数を増やして、音楽制作も主体的に行うようになりましたよね。さらに映画出演も果たして、表現者として理想的なキャリアを築いてるように見えますが、なぜ活動を休止してしまうのでしょうか?

20代は音楽に全てを注いで、ギターを弾いて、お客さんの前で歌ってきました。たまたまちょうど30歳になるというタイミングではあるけど、新しい夢に向けて「進みたい」って思った時が今だったんです。「これからの人生、他にやりたいと思うことはあるだろうか?」って自分自身に問いかけた時に、やりたいことがパッと浮かんだんです。「二足のわらじになってしまう」と思ったから、活動休止という決断をしました。これからの人生をどうやって生きていくか。アーティストとしての自分と向き合っていたところから一歩引いて、“住岡梨奈”の意識が芽生えた感じなんです。

―30歳を迎えて表現者として脂が乗る時期だと思うんですけど、その時期にあえて休止をしてまでやりたいと思ったんですね?

そうですね。「もし音楽に出会っていなかったら私は何をしたかったのだろう?」と自分自身に問いかけた時に、そもそもそんなこと今まで考えたことがなかったんですよね。25歳を過ぎて「やりたいことはなかったっけ?」と考える中で、「あれ?自分ってこういうことが好きなんじゃない?」とだんだん好きなものがわかってきたというか。高校生の時に初めてギターを持って、「これは真面目に練習しよう」と思った時の感覚と同じ。誰かに押し付けられたわけでもなく、自分の意志がないとできない。次に進む道を見つけた時の感覚がギターを手に取った時の感覚と一緒だったから、これは自分の中で間違いではないなって。20代を与えてもらったものに支えられて進んできたぶん、30代に向けて巣立ちの気分なんですよね。

―そういう経験を経てまたいつか音楽の現場に戻ってくると、変わっている部分もあるんじゃないですかね。

そうですね。もっと簡単にみんながライブに来れるといいなといつも思うんです。カフェツアーを始めた時は、お茶を飲みに来る感覚で来てくださいって話していて、何なら寝たっていいと思っているんです。音楽は気持ちいいと寝ちゃうって私自身が思っているから、リラックスするために来てくれればいいなって。初めてライブに行くって人達のために足を運びやすいライブをしたいなってずっと思っているから、おばあちゃんが小さい子を連れて来てくれたりしたらすごくいいなと思います。もっとライブが身近なものになってもいいじゃないかなって思っているので、そういうところを広めていけたら良いですね。

―もっと音楽に気軽に触れてもらいたいとか、敷居を低く来てもらいたいっていう人は他にもいるけど、住岡さんなら実現できると思うんです。

一番ライブに来られるようになってほしいのは、主婦の方とか家から移動できない人だと私は思っているんですね。ステージ上と客席というの距離感から、ステージから降りて直接手を握ることのできるところに私が行くことで、何かができたらなと思っています。そういう想いもあっての新しい道なんですよね。

―素晴らしいですね、結局、根っこにあるのは音楽なんですね。

歌っていないと生きていけないでしょうね。歌は好きなのでやめないですよ。

Edited by Motomi Mizoguchi




<INFORMATION>


『住岡梨奈 2012-2019」
住岡梨奈
徳間ジャパンコミュニケーションズ
発売中

住岡梨奈 LIVE tour 2019
「笑顔のために」 ※バンド編成ツアー
8月23日(金)東京・恵比寿ザ・ガーデンルーム
8月25日(日)大阪・心斎橋Music Club JANUS
8月30日(金)北海道・札幌cube garden
http://www.sumiokarina.com/

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