2019年のホープ、miletが一人にこだわる理由「孤独を知らない音楽は信用できない」

―今回の『Wonderland EP』は5曲入りということで、ここから1曲ずつ話を伺おうかなと。まず、表題曲の「Wonderland」は映画『バースデー・ワンダーランド』の挿入歌ということで、作品の感想から聞かせてもらえますか。

私自身、もともと原監督の大ファンなんですけど、「今までの作品とは違う」とまず思いましたね。子供でも大人でも、その人が今まで生きてきた時間があって、しっかり自分の意見を持っている人間なんだと改めて考えさせられました。主人公のアカネは小学生で、内気で引っ込み思案なんですけど、周囲の助けも借りながらどんどん変わっていくんですよ。「一人で強く生きていかなくてはならない」という考え方もあるんでしょうけど、実はそうではなくて、誰かに頼りながら生きていくのでもいいんだなって。アカネちゃんの成長していく過程は、私の人生とも重なるところがある気がして。そんなふうに、観る人によって様々な捉え方ができるし、いろんなことを教えてもらえる映画だなって思いました。

―カナダでの経験を踏まえると、「支え合ってもいい」という作品のテーマが、miletさんの心に響いたのも頷ける話ですね。サビの「もう1人じゃ無いんだ 行こう」という歌詞にも象徴的というか。

そうですね。映画のテーマでもあるし、自分に対してのメッセージでもあるなって思います。



―そんな映画のイメージを、どうやって曲に落とし込んだんですか?

最初の打ち合わせで監督とお会いしたときに、「Wonderland」が流れるシーンの絵コンテを見せていただいて。原作(柏葉幸子の小説『地下室からのふしぎな旅』)を知っていたので、すぐに一番のクライマックスだとわかったんですよね(笑)。その時点で、私はまだデビューもしてなかったし、こんな大役を引き受けていいのかという不安もあったんですけど、絵コンテを見た瞬間にメロディが浮かんできたんですよ。そんな経験は今までなかったし、この作品できっとやれると思った瞬間でもありましたね。それに、夢の一つでもあったオーケストラとの曲作りも実現できましたし、夢がいっぱい詰まったような曲になりました。

―クラシック出身だけに、オーケストラはたまらなかった?

想像の遥か上をいくものでしたね。ヴァイオリンのある方は、私が前の月に見ていた定期公演のオーケストラで演奏されていて。いわゆるレジェンドの集まりだったんです。クラシックの先輩方に囲まれた幸せな空間で、音楽談義も楽しかったですし、私も楽譜を見て育った人間なので、運命の再会を果たしたような気分でした(笑)。

あとは子供の合唱も入れさせていただいて。プロの合唱団なので何もかも上手すぎるんですけど、私の映画に対するヴィジョンと、楽譜にパーフェクトすぎる合唱や演奏はちょっと差があって。あえて子供っぽさを強調したり、演奏の細かいフィーリングを説明するのが難しかったんですけど、その辺りの試行錯誤もいい経験になりました。

―まだデビュー前だったにも関わらず、これだけの大きな仕事で、自分のイメージを臆することなく伝えられるのは立派ですね。

身のほど知らずとも言われますけど(笑)。原監督も一人のアーティストとして私に向き合い、しっかりお願いしてくださったので、私もその期待に全力で応えたかったんです。頭のなかにあるヴィジョンを形にして、それを上回るものを作ることは、映画のためでもあるし、私の歌のためでもあるので。自分から言っていかないと何も始まらないなって。

―2曲めの「Runway」は開放感に満ちたナンバーです。

今回のEPは、私のなかで「旅」というテーマを設けていて。「Wonderland」は大地を歩くイメージで、「航海前夜」は海、「Undone」は宇宙空間みたいな。そして、この「Runway」は飛行機が離陸するために滑走路を走る光景をイメージしながら作りました。



―この曲はクラブミュージック的というか、エレクトロニックな音作りが前面に出ていますけど、そういう音楽もよく聴かれるんですか?

いや、そうでもないですね。それこそ本当に最近、自分がこういう音を使うようになってから聴くようになった感じで。アメリカのEDMもそうだし、K-POPも新しくて面白い音を扱ってたりするので、勉強も兼ねて聴いています。

―ちなみに、最近好きな音楽は?

エイミー・ワインハウスをずっと聴いています。昔から好きなんですけど、最近になってまたいいなって。あとはオアシスとか。

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