英グラストンベリー・フェスティバルが目指す、プラスチック製品ゼロ革命

主要フェスティバルすべてで使い捨てプラスチック製品が排除されるのは環境保全の大きな変化である一方で、これを実行するためには音楽興行業界が成し遂げるべき煩雑で膨大な準備と作業が待っている。そこで、プラスチック・ポリューション・コーリションは、プラスチック製品ゼロ公演やイベントの実施ガイダンスを作っており、これはスタジアム級のトップミュージシャンからバンで国内を回るインディーバンドまで、あらゆる人が利用できるようになっている。ここ数年、U2を含む多くの有名アーティストたちが使い捨てプラスチック製品を放棄して、再利用可能なカップを持参することを強力にすすめてきたが、この行動を最も熱心に行っているのがジャック・ジョンソンだ。

ハワイで生まれ育ったジョンソンは、不法投棄されたプラスチックゴミが引き起こすダメージをその目で見ている。ハワイ全島の北側と東側の海岸には頻繁にプラスチック片が波とともに打ち上げられるのだ。また、ミュージシャとして、大きなライブのあとの人のいなくなった会場に大量のプラスチックゴミが散乱している光景も見ている。この10年間、ジョンソンと彼の団体オール・アット・ワンスは、彼のライブをすべて可能な限り環境に負担をかけないものにしてきた。車移動ではバイオディーゼル車を使い、自転車でライブ会場に来る人のために駐輪場を設けて駐輪係を起き、会場がそれぞれの状況に応じて変更可能な環境保全の付帯条項を採用している。


グラストンベリー2009でのゴミ収集サービス

また、ジョンソンはほとんどのコンサート会場に水のリフィルステーションを設置している。2014年にはリユーサブル・パイント・プログラムを発表し、ファンにステンレスのカップを提供した。それから3年後、ジョンソンがカリフォルニア州サンタバーバラにあるサンタバーバラボウルで行った2公演では、チケットを買った観客全員に再利用可能なカップを提供して、完全にプラスチック製品ゼロのコンサートを実現した。

「あれは最高だった。過去最高のショーだったよ」とジョンソンが言う。「サーファー目線で観客を見たとき、彼ら全員が手に持った再生可能なパイントカップを高々と掲げていた光景は最高の気分だった」と。

そしてコンサート後、観客が帰った会場にゴミはほとんど落ちていなかった。

Translated by Miki Nakayama

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