英グラストンベリー・フェスティバルが目指す、プラスチック製品ゼロ革命

今年、使い捨てプラスチックボトルの販売を禁止するという、最大規模のフェス「グラストンベリー」(Photo by Mark Large/REX/Shutterstock)

今年、イギリス最大のフェス「グラストンベリー」で使い捨てプラスチックボトルの販売が禁止される。他のフェスも追随するのか?

フェスティバルは常に平和、愛、音楽にあふれている。しかし、大型の音楽フェスティバルは常に大量のゴミ問題に悩まされてもいる。半世紀の間、海上を漂うゴミがニューヨーク州ベスル、カリフォルニア州インディオ、イギリスのサマセットなど、各地の海岸に途絶えることなく打ち上げられてきた。この海洋ゴミが気候変動を助長する最大の原因ではないが、フェスティバル主催者たちが積極的に会場の環境改善に力を注ぎ始めたのはここ20〜30年のことなのだ。

毎年20万人の観客を集め、5日間に渡って開催されるイギリス最大規模のフェスティバル、グラストンベリーは今年、使い捨てプラスチックボトルの販売を禁止し、楽屋からも一切排除することを決めた。売店ベンダーたちには缶入りの炭酸飲料と水の販売は許可されるもようだ。参加者は自前のプラスチックボトルの持ち込みを禁じられるわけではないが、主催者はプラスチック製ではなく再利用可能なボトルの持ち込みを強く奨励している。

参加者が十分に水分補給できるように、グラストンベリーはワーシー・ファーム・エリア周辺に無料の給水栓を何百も設置する予定だ。この中には非営利団体ウォーターエイドが運営する37の給水スタンドが含まれ、1個につき6つの給水栓が付いたリサイクルプラスチック製給水器がそれぞれのスタンドに20個設置される。

「これはやるべきことであり、地球にとって本当に必要なことなので、私たちももっと環境に配慮したいと思う」と、グラストンベリーの創始者マイケル・イーヴィスの娘で同フェスティバルの共同主催者のエミリー・イーヴィスがEメールでコメントし、「それに、これを一つのプラットフォームとして活用して、この大きな価値のある小さな変化を積極的におこすことをフェスティバル愛好者たちに促したい。彼らには大きな変化を起こせるのだから」と述べた。

現在、主要フェスティバルの多くは環境保全プログラムを導入しており、生ゴミのコンポストからボランティアによるゴミ拾いまで多種多様のプログラムを準備しているが、今年のフェスティバルの環境保全トレンドはプラスチック製品ゼロのようだ。グラストンベリー、ボナルー、ロラパルーザ、オースティン・シティ・リミッツは、すでにプラスチック製ストローとカトラリーの使用をやめている。また、これらのフェスティバルでは給水ステーションを増設しており、これによってプラスチックゴミの大幅削減に成功している。2018年のロラパルーザでは1100万本相当の使い捨てボトルの無駄遣いが削減され、近年のボナルーではリフィル・レボリューション(詰め替え革命)というプロジェクトが施行され、埋め立て地に廃棄される累計200万個以上のプラスチック製カップとプラスチックボトルを救っている

Translated by Miki Nakayama

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