産業用大麻とその派生商品、米国で合法化が進まない理由は?

農業法案の可決により合法化された産業用大麻と派生商品。米国や地方自治体が売買を取り締まり続けるのはなぜか? Jennifer Lett/South Florida Sun-Sentinel/AP

2018年に米議会で農業法案(Farm Bill)が可決されたことにより、産業用大麻とその派生商品は合法化されたはずだった。ではなぜ米食品医薬品局(FDA)は、にわか景気の業界に対する連邦規制に関して重い腰を上げようとしないのだろうか?

国レベルでは大麻革命に動いている。しかし連邦政府の多くの役人たちは、今なお過ぎ去りし麻薬禁止法の時代に生きている。多くの米国会議員にとっては、不満の募る状況になっている。

2018年に米国議会が産業用大麻を合法化して以降、上下院の超党派の議員団体が、カンナビジオール(オイル)(CBD)に対する新たな規制を施行するよう米食品医薬品局(FDA)に対する圧力を高めている。CBDは、大麻に含まれる向精神作用のない化合物だ。しかし議員らは当局のぐずぐずした態度に、ますます苛立ちを抑えられずにいる。混乱を生じさせ、米国の各業界に余計なコストがかかっている、と議員らは主張している。

2018年、上院多数党院内総務を務めるミッチ・マコーネルをはじめとする議員らの働きかけにより、広範囲に渡る農業法案に産業用大麻と派生商品の合法化条項を含ませることに成功した。産業用大麻は、いわゆるマリファナとは異なり、向精神作用を持つTHCの含有量は0.3%未満。これを一部議員らはCBD合法化の明確な根拠とした。しかしFDAからの公式な指針がない状態で、ニューヨーク州からネブラスカ州に至る地方自治体も国も、向精神作用のない成分を含む商品に対する厳重な取り締まりを始めた。

この状況に対し、合法化を推進する議員らは、当局の対応を要求する声を上げ始めた。

「国による法的措置とそれに伴う混乱を受け、我々はFDAに対し、CBDを含む商品の合法化に関する指針を早急に示すよう求める」とシェリー・ピングリー下院議員(民主党、メイン州)と11人の議員は、2019年2月、FDAのスコット・ゴットリーブ長官宛てに書簡を送った。ところが同年3月5日、長官は突然辞意を表明した。彼の辞任により、当局の動きが一層鈍る可能性がある。

議員らは特に、FDAがCBD関連商品に関する指針を発行する時期と、現在もCBDの取り締まりを続ける国や地方自治体に対してCBD関連商品は既に合法である旨を通達するのかどうかを知りたがっており、さらに、FDAが以前から約束していた公聴会の開催時期についても決定するよう求めている。

規制指針をなかなか示さないFDAに対し、長年に渡り産業用大麻とCBDに関する連邦法の改正を求めてきた議員らは特にフラストレーションを溜めている。2012年、ロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州)は妻と共にコストコへ買い物に出かけた。そこで彼は外国産のCBD商品が並んでいるのを見たが、国産品が売られていないことに気づいた。それをきっかけにワイデン議員は、初めて産業用大麻の合法化法案を提出した。

「コストコでCBD商品を販売できるのなら、ここオレゴンでも栽培できるべきだ。結果として地元農家の利益につながり、カナダや中国の農家にばかり儲けを取られることはなくなる」と同議員は、ローリングストーン誌に語っている。

ワイデン議員は院内総務のマコーネル議員らと共に、産業用大麻の合法化を議会に諮るため結束した。そして今は、FDAが最後の障害物になっているようだ。混乱の原因の一部は、国が大麻を違法扱いし、ヘロインと並び規制薬物のスケジュールIにカテゴリー分けし続けていることにもある。「同法案が可決されたことにより、産業用大麻と派生商品、つまりCBDは合法化された」とワイデン議員は言う。「ところがFDAは、法改正に応じた規制の変更を全く行おうとしていない。」

ワイデン議員は、FDAがCBD関連企業を取り締まろうとしているのか、と多くの問い合わせを受けている。今のところ、国と地方自治体のみが取り締まりの陣頭指揮を取っているようだという。「目に見える証拠はないが、FDAが法改正に合わせて指針を変更していないという事実が、大きな損害につながっている」と議員は言う。

法改正を活用しようとする企業が唯一懸念するのは、州をまたいだ商品の販売に対する取り締まりだ。そこで、FDAが指針を出すまでは自社の拠点のある州内でのみ商品を取り引きするようCBD関連企業に対して助言する法律家もいる。州内のみで取り引きすることで連邦捜査官による摘発は受けないだろう、という考えだが、外国企業には開かれている大きな市場を失っている。だからこそ議員たちは、FDAに対する迅速な対応を求めているのだ。

Translated by Smokva Tokyo

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