【2010年代のポップ・ミュージック地図】2018年、英国R&Bシンガーが世界を席巻する時代がやってきた

エラ・メイ(Photo by Kathy Hutchins / Shutterstock)

2018年の音楽シーンを象徴する事件のひとつは、5月11日に起こった。イギリス出身の新人女性R&Bシンガー、エラ・メイの「ブード・アップ」という曲がリリースから一年以上かけて、全米シングル・チャート5位まで上り詰めたのだ。

「サウンドクラウド・ラップ世代向けのアリシア・キーズ的なバラッド」とも称される、ややクラシックなR&Bソングの大ヒットは一体どこが鮮烈だったのか? この事件の衝撃をローリングストーン誌はこのように伝えている。

「“ブード・アップ”はビルボードのホット100で、ジャズミン・サリヴァンの“バスト・ユア・ウィンドウズ”、ティナーシェの“2・オン”、SZAの“ラヴ・ガロア”よりも上位にチャートインした。過去10年にブレイクした女性R&Bシンガーの中でもっとも成功したシングルのひとつとなったのだ。クイーン・ナジャやH.E.R.などの曲も売れ始めているのも踏まえると、“ブード・アップ”の爆発的なヒットは、R&Bの世界で過去10年にわたって男性シンガーほどの商業的成功を収めることがほとんどなかった、新進気鋭の女性アクトたちの置かれた状況が変化し始めているサインなのだろう」

ローリン・ヒルやメアリー・J・ブライジなどが華々しくブレイクした90年代は、R&Bのメインストリームで数多くの女性が活躍していた。しかし、米ビルボードが報じたところによると、2016年までに女性がリードを務める曲がメインストリームのラジオでかかる回数は大体半分くらいになってしまったという。だからこそ、エラ・メイのブレイクは、時代の変化を象徴する喜ばしい事件として人々に受け止められたのだ。

エラ・メイのブレイクが象徴する「変化」はこれだけではない。もうひとつ重要なのは、彼女が「R&Bのメッカ=アメリカ」ではなく、R&Bの世界では比較的マイナーなイギリス出身だということ。つまり、エラはR&Bにおける男性と女性のパワー・バランスを塗り替えただけではなく、国境の壁も打ち崩してみせたのだ。

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