音楽評論家・田中宗一郎が語る、若干16歳の次世代ポップ・アイコン、ビリー・アイリッシュの革新性

今年のサマーソニックで初来日を果たしたビリー・アイリッシュ(Photo by Kathy Hutchins / Shutterstock)

音楽評論家・田中宗一郎と映画・音楽ジャーナリストの宇野維正が旬な音楽の話題を縦横無尽に語りまくる、音楽カルチャー誌「Rolling Stone Japan」の人気連載「POP RULES THE WORLD」。2018年9月25日発売号の対談では、サマーソニックで初来日した若干16歳の次世代ポップ・アイコン、ビリー・アイリッシュの革新性について、田中が解説している。

田中「サマソニでいうと、ベストアクトは断トツでビリー・アイリッシュ。もうブルース・スプリングスティーンを初めて観たときのジョン・ランドゥの気分ですよ。『ロックンロールの未来を見た!』って感じ(笑)。ケンドリックにしろチャノにしろ、ようやく生で観ることができたのは嬉しかったけど、ここ5年間に起こったことの答え合わせみたいなところもあったでしょ。でも、既にその先ではいろんなことが起こってる。そういったいまだ名付けえぬ現在進行形の突端を感じさせてくれたのがビリー・アイリッシュだった」

彼女の表現を「いまだ名付けえぬ何か」と呼ぶに足る理由として、田中は「ポスト・ジャンル時代の申し子」という言葉を使って、このように分析する。

田中「彼女って16歳でしょ。つまり、2010年代後半っていうポスト・ジャンル時代の申し子なんです。少し遡ると、2015年以降の数年っていうのはポスト・トラップの時代だったわけですよ。ケイティ・ペリーやマルーン5みたいなポップ・アーティストが必死になって、サウス・ヒップホップからの影響を取り込もうとしてた。マックス・マーティンと組んで、ミーゴス呼んで、303のハット入れて、とか。でも、ビリー・アイリッシュの場合、そうしたここ数年の急激なジャンル・クロスオーバー自体がもはやアプリオリになってしまった世代の表現なんです。ビートもプロダクションも客とのコミュニケーションもトラップ以降のノリだし」

宇野「彼女、リズムの取り方が完全に今のラッパーでしたもんね」



田中「彼女の曲の大半は、観客が一緒に歌う、観客が縦にノることを前提にして出来上がってる。時代がもはや完全に次に進んだからこそ生まれた音楽。と同時に、ループ主体だけではない伝統的なフォーク・ソングのソングライティングもあったりして。つまり、トラップのノリ方、シンガロングというコミュニケーションの形が当たり前になった、その先の地平に彼女はいる。で、サマソニ直前のロラパルーザとか、ほかのフェスではとんでもないことになってた。その貴重なタイミングで俺たちは彼女を観ることができたんです」

また、本誌ではその後、田中は、ビリー・アイリッシュがドレイクのカバーをライブで披露する意味を解き明かすと共に、彼女が次世代アイコンとして猛烈な勢いで支持されている理由について、具体的に解説している。

Edit by The Sign Magazine

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