ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ワーストムービー」トップ10

左から時計回りに:『ライフ・イットセルフ』、『ゴッティ』、『ヴェノム』、ローリングストーン誌が選ぶ2018年版ワーストムービーTop 10入り

米ローリングストーン誌の映画評論家のピーター・トラヴァーズが今年一年の映画をランク付け。前評判通りコケた続編や、大失態を演じたダークヒーローもの、史上最悪のギャングムービーなど、2018年のワーストムービー10本を一挙公開。

ヒドイ映画がここまで多いと、ケチをつける気にもなれない。だが、いまだにハリウッドは過去のヒット作の焼き直しや使い回しを続け、オリジナリティは興行成績を侵す疫病とみなして、避けて通ろうとする。その結果2018年のシネマコンプレックスには、見境なく登場する駄作に変に後押しされ、かつてないほど安全パイの作品であふれかえった。これはどこかで見たことがあるぞ、というデジャヴに襲われて思考停止になったこともあるはず。『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』や『インシディアスで 最後の鍵』、『パシフィック・リム:アップライジング』に『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』、『Super Troopers 2(原題)』『クローバーフィールド・パラドックス』『Sherlock Gnomes(原題)』『くるみ割り人形と秘密の王国』・・・たしかに、あるある。ザ・ロックは『スカイスクレイパー』でも『ランペイジ 巨獣大乱闘』でも基本的に同じ役だし、チャールズ・ブロンソンの『デス・ウィッシュ』をブルース・ウィルスがリメイクするとか、『オーバーボード』のゴールディ・ホーンをアンナ・ファリスが再現するとか、アニメ版『グリンチ』でジム・キャリーのおばかぶりにベネディクト・カンバーバッチが挑戦するとか、もうたくさんだ。

にもかかわらず、意外にもふたを開けてみると、これら映画界の負け犬どもはワーストムービーTop10の圏外。底辺をひっかいたその下に、これよりひどい映画がまだあったというのか? その通り。嘘じゃない、確かにまだあったのだ。さあ、我らが選んだ2018年ワーストムービーTop 10をご覧あれ。涙なしには語れない。

10位『ヴェノム


お待ちかね、泣く子も黙るマーベルのアンチヒーローの名を汚す、PG-13指定映画のお出ましだ。その名はヴェノム、サンフランシスコ在住の記者エディ・ブロックの身体に憑依し、それ以外のときは人間の頭を食いちぎって、脳みそをむさぼる未知の寄生体。偉大なるトム・ハーディには、まさにうってつけな二重人格役だと思っただろう?事情が違えば、そうなっていたかもしれない。だがイギリス人俳優は、すでに『ダークナイト ライジング』で超悪党は経験済み。『レヴェナント:蘇えりし者』ではレオナルド・ディカプリオを裏切り、『レジェンド 狂気の美学』では、双子のギャング、クレイ兄弟を演じ分けた。今回はやや手加減したのか、ヴェノムには決してあり得ない笑いを取りに走った。次のダークナイトになりうる可能性を秘めたキャラクターを、よりによって、ハーディのような人気俳優に売り飛ばす、というのが、リスクを恐れるドル箱ビジネスの定石なのだ。
※日本では、2018年11月2日より全国公開中

Translated by Akiko Kato

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