レディオヘッドのロックの殿堂入り記念、96年のアラニス・モリセット前座演奏を回想

1996年の夏、アラニス・モリセットのオープニングアクトを務めたレディオヘッド

レディオヘッドが、2019年にロックの殿堂入りをすることが確定した。当時まさか殿堂入りするとは思われていなかった頃、バンドはアラニス・モリセットのオープニングアクトを務めた。初期バージョンの「パラノイド・アンドロイド」を披露した当時の映像を振り返る。

昨年はロックの殿堂に名を連ねる資格を得た最初の年であったにも関わらず、殿堂入りが見送られたレディオヘッドだったが、ようやく2019年のロックの殿堂入りが確定した。殿堂入りアーティストが発表された米現地時間12月13日の朝も受賞についてレディオヘッドのメンバーは予想通り多くを語らなかった。「レディオヘッドのメンバーは2019年のロックの殿堂入りのニュースに驚いています」と短い声明を発表した。「殿堂入りの票決メンバーに感謝するとともに、今年殿堂入りを果たした他の受賞者にお祝いの言葉を贈ります」。

ロックの殿堂の授賞式にはセックス・ピストルズにならって参加しないのか、あるいはキッスのようにものすごく不機嫌に登場して演奏をしないのか、それともスティーヴ・ミラーのように登場するにはするけど何かにつけてずっと文句を言い続けるのか、またはパール・ジャムにならって、なりふり構わずゴマをすって夜を盛り上げようとするのかはわからないが、タキシードに身を包んだトム・ヨークが笑顔を浮かべながらテーブルに着いたデフ・レパードやジャネット・ジャクソンが見つめるなか「Fake Plastic Trees」や「Creep」を演奏する姿を想像するのはなかなか困難だ。でも、ロックの殿堂でのパフォーマンスのためにトーキング・ヘッズやクリームやレッド・ツェッペリンが再結成するくらいだ。どんなこともあり得る。

1996年の夏、レディオヘッドがまさかロックの殿堂入りを果たすだろうと多くの人は思っていなかった。当時のレディオヘッドは、アリシア・シルヴァーストーンが映画『クルーレス』で「いかにも大学のラジオ放送っぽい感傷的な音楽」と呼んだ「クリープ(キモい)」バンドとしてしか多くのアメリカ人には知られていなかったのだ。レディオヘッドが3枚目のアルバムに取り組みはじめたちょうどその頃、バンドはアラニス・モリセットのオープニングアクトを務めることに同意した。その頃のアラニス・モリセットは『ジャグド・リトル・ピル』の大ヒットによってキャリアの頂点を迎えていた。

オープニングアクトとしてツアーに参加する以上、チケット完売の会場でいつもと違う観客を前に演奏しなければいけなかった。「あのツアーの主な記憶は」昨年のインタビューでジョニー・グリーンウッドはローリングストーン誌に語った。「静かな絶望を抱いた10代の女の子たちの前で延々とハモンドオルガンのソロを弾き続けたことかな」モリセットにとってはまったく別の経験だったようだ。「私の頭の中ではぴったりの組み合わせだった」とモリセットはローリングストーン誌に言った。「骨の髄まで本物と呼べるアーティストと組むことは私にとってすごく重要だったの。音楽業界はあまりに野蛮で男性が支配的だったから、学識豊かな人々と一緒にツアーができて本当に恵まれていた」

観客が「Creep」しか知らないことに気づいたレディオヘッドは、当時制作中だった『OKコンピューター』の楽曲を試してみる場としてツアーを利用した。ここでは、マサチューセッツ州マンスフィールドで「Paranoid Android」を演奏している動画を紹介しよう。このライブでレディオヘッドは初めて「Climbing Up the Walls」と「Karma Police」を披露した。たとえ観客の多くが、アラニスにはやく「Ironic」を歌ってほしいと泣きそうなほど退屈していたとしても。

この「Paranoid Android」はアルバムに収録された楽曲と比較的近いバージョンだが、終わりにかけてジョニーが言う「延々と続くモンドオルガンのソロ」が奏でられている。ツアーを終えてスタジオに戻ったバンドは懸命にもこの部分をカットし、今後一切披露することはなかった。

この2年間にわたってツアーに勤しんでいたレディオヘッドは現在、ちょっとした空白期間にある。そしてファンはロックの殿堂をめぐって「あの曲をやる、やらない」の耐久戦に持ち込まれる。結果はどうであれ、あまり勝算はなさそうだが。

Translated by Shoko Natori

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