ロッド・スチュワートが語る、父として夫としてミュージシャンとしての時間

―引退ツアーを行っていない数少ないクラシック・ロックのアイコンの一人があなたですよね。

ああ、ありがたいことに、今でも俺の人生は良好だ。エルトンをこき下ろしたときにはかなりのトラブルに見舞われたよ。あのときは口をつぐむべきだったんだろうが。あのとき、俺は『Whatever Happens Next(原題)』という、へべれけになるまで酒を飲む番組に出ていた。ヤツが300公演もやったあとでもっとコンサートをするって公表していたから、フツーに最後の集金ツアーの臭いがするって言っただけ。だって、俺たちは遅かれ早かれ引退することになるだろう? でも今の俺にとって引退はまだ先の先だ。本当に今が楽しすぎるから。

―引退ツアーをするつもりはないと?

う〜ん、絶対にしないとは言わないけど、ヤツみたいなやり方ではしないと思う。第一、引退ツアーなんて考えたこともない。引退の日は本当に悲しいはずだからな。俺の人生の大きな部分を占めてきたことをやめるわけだから。

―では、今日はこれまで何をしましたか?

今日は素晴らしい一日だった。イギリスの自宅に屋内プールを作ったんだ。それが本当にゴージャスでね。大金を注ぎ込んだよ。今日は兄2人が遊びに来て、みんなでプールに飛び込んだ。「俺たち、一緒に水に入ったのはこれが初めてじゃないか? 海でも、プールでも、水に3人で入ったのってさ」って言ったら、大正解だった。今まで一度もしたことがなかったんだよ。俺の兄なんて来年90歳になるんだぜ。姉も来年90歳くらいだ。もう一人の兄は今81歳だ。そんな年齢の兄が俺のプールで元気に泳いでいて、ものすごく楽しんでいた。お互いの顔を見ながら「ここに父さんと母さんがいたらな」って話していたよ。

―パフォーマンスしていて、若い頃と同じようなスリルを今でも感じますか?

今のほうがもっとスリルを感じるよ。俺の仕事は最高だ。ステージに立って歌を歌って、観客を幸せにして自宅に帰すことで金をもらっているんだから。サッカー選手やスポーツ選手とは全く違う。だってスポーツ選手なら、試合に負けたらファンは幸せな気分で帰宅できないだろう。でも俺の場合、ウィンウィンの状況だ。本当に素晴らしいの一言さ。

―これまでの人生で最も幸せを感じたのはいつですか?

今だ。疑いの余地もなく、今だね。これほどまでに満足したことは今まで一度もないよ。ほら、今の俺を見てくれ。経済的な部分は別にして、ここに素敵な自宅があるだろう? すべてが物質的な豊かさと自覚はしているけど、一番ゴージャスな奥さんがいて、最高の子どもが8人いて、可愛い息子が2人いる。夢物語のようだよ。もうすぐ息子たちが学校から帰ってくる。2人とも帰宅するとすぐにプールに飛び込むんだ。俺も一緒にプールに入るのが待ち遠しいよ。こんな生活をしている今が俺の人生の中で最高の時期だ。

―最も悲しかったときはいつですか?

1999年頃にレイチェル・ハンターと離婚したときだと思う。でも、驚いたことに最愛の妻ペニーが突然現れた。レイチェルと別れたその日、ペニーがドーチェスターのホテルに現れたんだよ。彼女の友達が「ロッド・スチュワートからサインをもらってきて」と頼んだらしい。そこで彼女がホテルにやってきた。ほんと、運命のいたずらってこういうことなんだよ。

Translated by Miki Nakayama

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