ファン層を拡大するフェンダー社、CEOが語る「ギタービジネスの未来」

2015年よりフェンダーのCEOを務めるアンディ・ムーニー(Photo by Henry Diltz)


ー実際、ウクレレには何が起きているのでしょうか?

ウクレレの人気の高まりは、ここわずか5年の間に起きているように思う。ただとても急激な盛り上がりで、衰えることを知らないようだ。フェンダーでは2018年10月、Grace Vanderwaalシグネチャーモデルのウクレレをリリースしたが、その売り上げはどんどん伸びている。私の12歳の娘にも半年前にウクレレをねだられた。クラスのほとんどがウクレレをプレイしているので、みんなと一緒に曲を演奏したいのだという。生まれて初めて手にする楽器として弦楽器を選択するとても若いプレーヤーが増えているのは、ひとつの社会現象といえるだろう。

ーサンプラー、ドラムマシン、オートチューン等のデジタル音楽ツールは、ギター・ビジネスとどのような関係にあると考えますか?

ギターとデジタル・ツールがライバル関係にあるとは考えていない。ギタープレイヤー全体の世界を考えた時、プレイで悪名を得たいと考える人は、全体の10%にも満たないからだ。デジタル・ツールを使って音楽を作ろうという人の割合は、もっと低くなる。

私は、デジタル・ツールはただの道具と考えている。周りの人は私に「そんなものは“嫌いだ”」と言わせたいのだろうが、私はなんでも好きだ。いろいろな音楽づくりを支援するただの道具にすぎない、と私は思っているからだ。グライムスやスクリレックスなどのEDMアーティストは、入力デバイスのひとつとしてギターを使っている。私が予想もしなかった意外な展開だ。

ーフェンダーは今、他の楽器や分野へ進出する計画はありますか?

現時点ではない。今の業界で手一杯だし、ここでのシェアをさらに伸ばしたいと強く願っている。だから今は、ギターに注力している。

ー現在の最も大きな課題は何ですか?

この会社における私の目標のひとつは、全カテゴリーの製品のクオリティを、エレクトリックギターやアンプと同様の高いレベルに向上させること。まずはエフェクターペダルから取り掛かった。現代のギタリストにとってとても重要なため、我々はエフェクターを提供しているが、とてもよい反応を得ている。

次に重視しているのがアコースティック・ギター。フェンダーは1000ドル(約11万2500円)以下のクラスに強かったが、アーティストがステージで満足するようなレベルの米国製のアコースティックは、これまで提供していなかった。CEO直轄のR&Dプロジェクトで2年かけて開発した成果を、2019年1月のとある展示会でお見せできると思う。これまでにないフェンダー・アコースティック・ギターのクオリティに、アーティストたちもとても驚いていた。

ー反応は、どのようにはかっているのでしょうか? 売上額や販売予想か、或いはソーシャルメディアの反響でしょうか?

先週、おもしろいことがあった。デフ・レパードのフィル・コリンが、Charvelヘヴィメタル・ギターのシグネチャーモデル製作のためコロナ工場を訪れた。我々が開発中のアコースティックを試した彼は、その晩のステージで使いたいと言った。我々としては断らざるを得なかったが、来春(2019年)に正式リリース次第、彼に提供することを約束した。今のところそのようなエピソードばかりだが、アーティスト本人がショールームから文字通り我々のギターを盗み出して、「今晩すぐに使いたい」などと言われたら、こんなに励みになることはない。

Translated by Smokva Tokyo

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