ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』知られざる20の真実

『イン・ユーテロ』は、今年発売25周年を迎える (Photo by Charles J. Peterson/The LIFE Images Collection/Getty Images)


7. 長い時間をかけて制作した『ネヴァーマインド』とは対照的に、一発録りを基本とした『イン・ユーテロ』のレコーディングはわずか14日間で終了した

直感的でスピーディな作業を心がけるアルビニが先導する形で、バンドはわずか2週間でアルバムを完成させた。「レコードの完成までに1週間以上かかる場合は、何かが機能していないということだ」アルビニの提案書にはそう記されていた。本能的でリアルなサウンドとミニマルなプロダクションを特徴とする『イン・ユーテロ』のレコーディングは、極めてクリーンで理路整然とした『ネヴァーマインド』よりも遥かにスピーディだった。「レーベルの連中とファンの大半は、『ネヴァーマインド2』を期待してたはずさ」プロデューサーのジャック・エンディーノはGoldmine誌にそう語っている。「言うまでもなく、スティーヴにそんなつもりは毛頭なかった」


8. ヒットを狙うにはプロダクションが粗すぎるという懸念を理由に、ラジオ向けのシングル曲群はR.E.M.のプロデューサーであるスコット・リットによって再ミックスされた

『ネヴァーマインド』で獲得した無数のファンが求めるものと、自身のルーツであるパンクの精神との間で、コバーンは揺れ動いていた。楽曲の大半は正真正銘のアルビニサウンドであるものの、彼はラジオ向けのシングル曲群をリットに再ミックスさせることを承諾した。しかしその事実に違和感を覚えたファンは多く、アルビニ自身も不満をあらわにした。「ビジネス的観点から言って、あれは俺にとって大打撃だった」彼はGaarにそう語っている。「俺はメインストリームのバンドと仕事ができないっていう烙印を押されたも同然だったからな」

9. カバーに使われた天使の像は、解剖学の授業に使用される人体模型にコバーンが羽をつけたものだった

子供の頃に人体模型のおもちゃを手にして以来、コバーンは解剖学に強い興味を持っていた。「医者か何かになりたいっていう願望があったのかもしれない」彼は1993年にMuchMusic誌にそう語っている。ミネアポリスで『イン・ユーテロ』のレコーディングをしていた時、彼は頻繁にMall of Americaを訪れ、医療器具販売店で人体模型や解剖図などを物色していたという。羽の生えたマネキンは、ツアーでもセットの一部として使用された。

10. 裏表紙のコラージュ写真は、コバーンが自宅の台所で作ったものだった

コバーンは自宅の台所の床に、胎児や内臓のプラスチック模型、べっ甲、カーネーション、ユリ等を、何日もかけて丁寧に並べていった。グロテスクなものと美しいものを組み合わせたそのコラージュは、コバーンの美学を端的に示している。花が萎れてしまわないうちに撮影すべく、彼は急遽フォトグラファーのCharles Petersonを自宅に呼び寄せた。Petersonが写真を撮っている間、台所のステレオからはミックス前の『イン・ユーテロ』が流れていたという。「作品に触れずに真上から撮影するのは大変だった。静止物体の撮影は僕の専門分野じゃなかったしね」彼はニルヴァーナの伝記本を執筆したEverett Trueにそう語っている。

Translated by Masaaki Yoshida

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