ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』知られざる20の真実

『イン・ユーテロ』は、今年発売25周年を迎える (Photo by Charles J. Peterson/The LIFE Images Collection/Getty Images)


11.「レイプ・ミー」と裏表紙のグロテスクさを理由に、ウォルマートとKマートは『イン・ユーテロ』の取り扱いを拒否した

両社の要請に応じる形で、コバーンは「レイプ・ミー」を「ウェイフ・ミー」に改題し、裏表紙をよりソフトなものに変更することに同意した。「俺が子供の頃、ウォルマートは唯一レコードを物色できる場所だった」彼はマネージャーのダニー・ゴールドバーグにそう語っている。「子供たちに、このレコードを手にとって欲しいんだ」

「レイプ・ミー」は様々な場面で物議を醸した。最も広く知られているのは1992年のMTV Video Muaic Awardsで、バンドが同曲を演奏すれば放送を中止し、コマーシャルを流すと番組側から迫られたことだろう。コバーンはプロデューサーたちを挑発しようと、パフォーマンスの冒頭で同曲を数秒間演奏してから、見事なアレンジが施された「リチウム」を披露してみせた。

12. コートニーから作曲の協力を頼まれたコバーンは、クローゼット内で「ハート・シェイプド・ボックス」を書いた

ラヴからリフを書いて欲しいと頼まれたコバーンは、ウォークイン型クローゼットの中でギターを爪弾いていた。「5分くらいそうやってたわ」彼女は本誌にそう語っている。「ノックしたら『何だ?』っていうから、『そのリフ使うの?』って聞いたの。そしたら『うるせぇ!』って言って扉をまた閉めちゃったのよ」そのリフが元となって生まれた「ハート・シェイプド・ボックス」の歌詞はラヴに捧げられており、コーラス部は彼女に贈った手紙の一部だった。「かけがえのない君の意見とアドバイスに 俺は永遠に感謝する。君の前に姿を現わすほど 俺は価値のある人間じゃないから」

13.「ハート・シェイプド・ボックス」の原題は「ハート・シェイプド・コフィン」だった

同曲の歌詞は当初、「何週間もの間 俺はハートの形をした棺桶の中に閉じ込められてた」となっていた。『アイ・ヘイト・マイセルフ・アンド・ウォント・トゥー・ダイ』というアルバムの仮タイトルと同様に、内容がダークすぎるという指摘が周囲から相次いだが、その懸念が妥当であることは明らかだった。同曲のミュージックビデオはMTVでヘヴィローテーションされ、オルタナティブ系ラジオ曲でも頻繁にプレイされたものの、世界で最も注目されているバンドの新作からのリードシングルであるにもかかわらず、同曲はHot 100にチャートインさえしなかった。「丸焦げになった君のがん細胞を食べたい」という歌詞は、郊外のキッズたちが口ずさむには暗すぎるという指摘には、誰もが同意せざるを得なかった。

14. ラヴは1990年にハートの形をした箱をコバーンに贈ったが、1994年の時点で2人はそのバリエーションを無数に所有していた

1990年にコバーンと出会った際に、ラヴはハートの形をした箱をデイヴ・グロールに手渡し、コバーンに渡してほしいと頼んだ。磁器の人形や乾燥したバラ等、コバーンの興味を惹くものが多数収められていたその箱には、ラヴが愛用する香水が振りかけられていた。2人のロマンスのシンボルとなったハート型の箱を、コバーンとラヴはそれぞれ多数所有していた。「ローラ・アシュレイとか、コートニー好みの女の子っぽいものと並んで、カートが集めてたカーネル・サンダースのフィギュアとかが置いてあったわ」ホールのドラマー、パティ・シュメルはCharles R. Crossにそう話している。「そういうちょっと悪趣味なものに、2人はユーモアのセンスを感じていたみたい」



15. 作曲は基本的にコバーンの役目だったが、「セントレス・アプレンティス」にはメンバー全員の名前がクレジットされている


作家のパトリック・ジュースキントの1985年作『香水 ある人殺しの物語』にインスパイアされたという「セントレス・アプレンティス」は、『イン・ユーテロ』において3人が作曲者としてクレジットされている唯一の曲となっている(『ネヴァーマインド』では「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」とB面曲「アニュリズム」の2曲が共同作曲扱いとなっている)。「セントレス・アプレンティス」のレコーディングは、全パートが一発録りだったという。「メンバーの誰一人として、やり直しの必要を感じなかった」グロールは本誌にそう語っている。「マジでガチのテイクだったんだ」

バンドの初期からコバーンは作曲の大半を担っていたが、当初はメンバー全員の名前がクレジットされていた。しかし多額の収入が舞い込むようになると、彼はその75パーセントを要求し、歌詞については100パーセント自分に権利があると主張した。他のメンバー2人は不満を示したが、コバーンは交渉に応じようとしなかった。

Translated by Masaaki Yoshida

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