マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、日韓ライブ独占密着レポート

SONIC MANIA 2018でのステージ(Photo by Takanori Kuroda)



サウンドは申し分ない。相当な爆音が出ていたが、耳に痛い周波数帯域(5Hzあたり)を少し下げるなどの工夫がされているからか、耳栓を外していても思ったほど辛くは感じなかった。その代わり中高域〜低域の迫力は凄まじく、まるでビルのように並ぶ幾つものアンプと、夥しい数のペダル&ラック・エフェクターを1曲ごとに組み替えながらかき鳴らされるエレキギターや、コルム・オコーサク(Dr)が踏み鳴らす地響きのようなキックの音が、振動となって衣服をビリビリと震わせ、喉や歯を揺さぶり、下腹部に蹴りを入れてくる。

「現象として、実際に目の前の空気を震わせること……メロディがいいから感動するとかって次元じゃないじゃないですか、マイブラって」

以前、THE NOVEMBERSの小林祐介(Vo, Gt)と対談したとき、彼はマイブラのライヴのことを、このように表現していた。確かに、ケヴィン・シールズの脳内にあるイメージを、4人で力を合わせて再現していくマイブラのステージは、「曲を聴かせる」というより「現象を引き起こす」行為に近い。すなわちそれは、初期衝動をそのまま音に刻み込むパンク・ミュージックと本質的に同じなのだということを、今回改めて強く感じた。

毎回ほぼ同じセットリストで、時おりミスして最初からやり直したりするような、「エンターテインメント」や「プロ意識」とは程遠い、ある意味では「アマチュアリズム全開」のステージをなぜ自分は世界中追いかけてまで観ているのかをよく考えるのだが、おそらく、そんなやり方でしか引き起こせない「現象」に立ち会いたいからなのだと強く思った。


Photo by Takanori Kuroda

もちろん、そんな「現象」の中から時おり微かに聴こえてくる“楽曲の素晴らしさ”も、彼らの魅力の一つであることは言うまでもない。今回、特にそれを強く感じたのがサード・アルバム『m b v』に収録された楽曲を演奏しているときだった。まるでバート・バカラックのような、洗練されたコード進行と転調が印象的な「New You」、ビリンダ・ブッチャー(Vo, Gt)の歌から始まる、切ないメロディの「Only Tomorrow」、ケヴィンにしか作りえない浮遊感を持つ「Who Sees You」。そして、コルムとデビーもギターを抱えて4人並んで演奏する、ドラムンベースの「Wonder 2」。ロックの名盤として不動の地位を誇る『Loveless』『Isn’t Anything』の楽曲たちに混じっても、何ら遜色ない。ケヴィン・シールズの、メロディメイカーとしての面目躍如といったところだ。

ちなみに、この日お披露目した新曲は2曲。韓国でも演奏した「New Song 1」と、8分の6拍子というマイブラには珍しい(おそらく初めてでは?)リズムを持つ「New Song 2」。後者は「Who Sees You」にも似た浮遊感と、切ない響きが印象的だった。

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