米リアリティ番組で大ブレイクした歌姫 Amara La Negraの素顔

ミュージシャンとしてのLa Negraは、男性優位な現代のラテンミュージックが、彼女のウーマンパワーで陰りを見せていることに満足げだ。デンボウからファヴェーラ・ファンク、レゲトン、ヒップ・ホップにR&Bと、なんでもござれ。トゥワーク風の「Avy」や「Asi」といった曲をこよなく愛する昔ながらのファンもいれば、「What a Bam Bam」に合わせて小刻みに腰を振り、ヒット曲「Insecure」を合唱する新規のファンもいる。『Love & Hip Hop』でブレイクして以来、新曲制作に取りかかっている。プロデュースを手掛けるのは、ビヨンセやリアーナ、ニッキー・ミナージュともコラボレーションしたことのある2人組Rock City。

彼女のアクセントはドミニカ共和国特有のものだ。ドミニカはその昔、国全体で人種差別が行われた歴史がある。La Negraは今年上旬、SNSで冗談交じりに、なぜ自分がルーツであるドミニカよりも、先にアメリカで有名になれたのか、と疑問を投げかけた。「長いことドミニカの人は私を応援してくれなかった。でも私が『ピープル』誌やなにやらの表紙を飾るようになると、とたんにドミニカの誇りになっちゃった」 ここぞとばかりに腕を激しく振りながら、彼女は当時を思い起こす。「そして今では、私を食い物にしてるってわけ。新聞の見出しはこうよ、『Amaraはドミニカ共和国の敵、彼女は母国を裏切った』。ちょっとちょっと、何コレ?!状態。私はずっと自分のルーツを誇りにしてきたし、ドミニカの国旗を掲げてきた。私を支えてくれた人たちのことは一生忘れないわ」

夕闇が迫る中、La Negroはマイアミ行きの飛行機に乗るべく、帰り支度を始めた。あと数週間のうちに、彼女はブルックリンのバークレー・センターのステージに立ち、バッド・バニーやジェイデン・スミス、La Insuperable、Boogie Wit Da Hoodieらとともに、Soulfritoアーバン・ラテンミュージック・フェスティバルに集まった観客を大いに盛り上げるだろう。『Love & Hip Hop: Miami』のシーズン2は近日放送スタート。ニューシングルもリリース間近だし、エクササイズ・アプリApptiveとも業務提携を結んだばかり。今年のクリスマスには彼女をモデルにした人形が発売され、ローファーのブランドも開発中とのこと。2018年のカルチャーシーンに、しっかりと自分の足跡を残している。「私の最大のライバルは、私。『y La Negra de verdad, tienes tumbao(本物のLa Negraはノリノリよ)*』。(*訳注:セリナ・クルスの曲「Y La Negra Tienes Tumbao」にかけて)

Translated by Akiko Kato

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