「あの時点での俺たちは一組の戦隊だった」と、2012年のローリングストーン誌のインタビューで、1992年にリリースされた『俗悪/Vulgar Display of Power』を振り返りながらヴィニー・ポールが語った。このアルバムはローリングストーン誌が選ぶ最高のメタル・アルバムで10位に入っているほど、その後のメタル界に大きな影響を与えた作品だ。同インタビューでポールはこう続けた。「俺たちはそれぞれの一番良い部分を引き出したし、アルバムを作るごとに俺たちの音楽という山脈の標高がどんどん高くなった。『極悪』のあと、俺たちは『悩殺/Far Beyond Driven』を作る必要に駆られたのさ。あのレベルに行くのが自然だったし、それがアルバム・タイトルにも表れていた」。
アルバムをリリースするたびにハードさとヘヴィーさが増すことを自慢気に話すのはメタル・バンドにありがちだが、パンテラの場合はその言葉に嘘はなかった。彼らが90年代に出したアルバム、つまり1990年の『カウボーイズ・フロム・ヘル/Cowboys From Hell』、1992年の『俗悪』、1994年の『悩殺』(この作品はビルボード200で1位を記録し、ローリングストーン誌が選ぶ最高のメタル・アルバムにも入っている)、1996年の『鎌首/The Great Southern Trendkill』で、このタイトなメタル・カルテットが自力で到達したのは残忍性と攻撃性の新たな高みであり、同時に進化の過程でメタルという音楽の基準をどんどん引き上げていった。
もちろん「ビカミング/Becoming」、「マウス・フォー・ウォー/Mouth For War」、「プライマル・コンクリート・スレッジ/Primal Concrete Sledge」に合わせてヘッドバングしたファンなら納得のはずだが、彼の弟ダイムバッグ・ダレルのギターが奏でる異次元の閃光、ヴォーカリストのフィル・アンセルモの血管が浮き出るほどの絶叫がパンテラの攻撃性の重要な要素で、すべてを統合する役割を担っていたのがポールのパワフルなドラミングだった。ポケットにズバッとハマったプレイを続けながら、一群の暴徒の足音のような轟音を響かせて、バンドのグルーヴ・メタル的なアタックを形成していた。さらに、最高のサウンドに対するポールの飽くなき探求が、彼と長年のプロデューサーのテリー・デイトに、ポールのビート同様に限界を常に超え、聞く者に畏怖を覚えるほどのドラム・サウンドを作り出させたのである。ちなみにテリー・デイトはアルバム『カウボーイズ・フロム・ヘル』から『鎌首』までをプロデュースしている。