辛口批評家のピーター・トラヴァースが、映画『デッドプール2』を絶賛する理由

『デッドプール2』2018年6月1日より、全国ロードショー (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved



ウェイドいわく、下ネタ満載の続編は「ファミリームービー」だそうだが、これはあながち間違いではない。物語の核となるのは、一人の少年ということも。やんちゃな10代、ラッセル(ジュリアン・デニソンが熱演)は孤児院のいじめられっ子。校長(エディ・マーサン)は、彼の特殊能力を封じ込めようとするが、ファイヤーフィストと化した少年はもはや制御不能となる。そのことが原因で、サイボーグのタイムトラベラー、ケーブル(ジョシュ・ブローリン、最高!)が未来からやってくる。ケーブルは、とある理由で少年を狙うのだった。

そこへ我らがアンチヒーロー、デッドプールの登場。「いったいなんの騒ぎだってんだ?」と、ターミネーターばりのクローン野郎とご対面。レイノルズとブローリンはここで一戦交える(ジョシュ・ブローリンが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の中で悪役サノスを演じていたことにちなんで、デッドプールがケーブルに向かって「うるさい、サノス!」と言うシーンや、『グーニーズ』の片目のウィリーへのオマージュもあり)。

ウェイド、すなわちデッドプールは、このワガママなティーンエイジャーを自分の息子だと考えるようになり、彼を保護するべく、自らのチーム「X-フォース」を結成する。メンバーはグラディエーター級の強さを誇るシャッタースター(ルイス・タン)、酸を吐き出すツァイトガイスト(出た、ビル・スカルスガルド)、心を操るベドラム(テリー・クルーズ)。ピーターと名乗る青年(ロブ・ディレイニー)は、求人広告を見て応募してきた、ただの凡人。そしてチームいちの強者、ドミノ。大物感漂わせる存在感と、ウェイドに勝とも劣らない自己中ぶりを、TVシリーズ『アトランタ』のヒロイン、ザジー・ビーツが演じている。

次から次へと続く、ジョークの応酬、そして脇役の存在感。あまりにもてんこ盛りで、詰め込みすぎな感もある。続編の製作は本当に大変だ。だが、ウェイドがバーブラ・ストライザンド主演の『愛のイエントル』を持ち出して、その中の「パパ、見守ってください」と『アナと雪の女王』の「雪だるまつくろう」がクリソツだと指摘する場面は爆笑間違いなし。“ポップカルチャーに詳しいアヴェンジャーで賞”をあげたい。また、心に傷を負い、自己防衛の術としてユーモアで武装した傷ついたヒーローを演じるレイノルズの演技にも目が離せない。アメコミヒーローでありながら、決してそれらしくない。なのに、ちょっと傷ついた一面ものぞかせる。映画としては完璧だ。

観客が両手を挙げて受け入れるまで、これでもかとあらゆる攻撃を仕掛けてくる『デッドプール2』。前作同様、続編も笑いあり、涙あり、おバカあり、感動あり。超大作ならまだしも、ノンストップのアクションとゲスな笑いで観客をあっと言わせる続編は、そうざらにあるものではない。激しくめちゃくちゃに暴れまわって、限界まで観客を笑わせる。まさに、「いったいなんの騒ぎだってんだ?」という感じの作品だ。



Translated by Akiko Kato

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