エレカシ、ミスチル、スピッツの「奇跡の共演」で見た三者三様の生き様

3月18日にさいたまスーパーアリーナで開催された『30th ANNIVERSARY TOUR "THE FIGHTING MAN" SPECIAL ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜』(Photo by Katsumi Omori)


20分のステージ転換を挟み、会場が再び暗転しシンフォニックでスペーシーなSEが流れ出す。ミスチルの登場だ。プロローグを挟みいきなりの「Everything」。そして「HANABI」を演奏しMCを挟む。「改めまして、ミスターチルドレンです。今日はめちゃくちゃ楽しみにしてきました。それにみんなも今日はお得だよ(笑)。こんなことはもうないとも思います。最初で最後だと思って楽しんでください!」とハイテンションの桜井。

そしてエレカシとの縁を話し出した。桜井によれば、ミスチルはデビューを目指し、高3の時、いろんなレコード会社にデモテープを送っていたという。その中の一つが、CBSソニー・オーディション。このオーディションで86年にエレカシが入賞しデビューのきっかけをつかんでいる。ミスチルが応募したのはエレカシ入賞の2年後の88年で、日本青年館で行われた最終選考まで残った。だが結果は落選。納得のいかない桜井は後日審査員に電話をかけて何が足りなかったのかを聞いた。審査員の答えは「個性が足りない」だった。ちなみにこの時のオーディション合格はスカンチ、THE BOOMなど。桜井自身も「確かに俺たち、髪も立ってないし、服も地味だし……」と思ったが、すぐに、2年前にオーディションに入選したエレカシのことを思いだしたという。「俺たちより地味なバンドがいたじゃないか。何であのバンドは入選したんだろう?」、そんな思いで偵察がてら、明治大学の学際でのエレカシのライヴに行ったそうだ。そこで観たのは、服も地味だし、髪も立ててないが、圧倒的にロックで、圧倒的にカッコいい、エレカシだった。そこから桜井はしばらくエレカシばかりを聴いていたという。そんな話をうれしそうにした後、エレカシの2ndアルバムに入っている「太陽ギラギラ」というマニアックな曲のカバーへ。桜井は謙虚に「熱心なエレカシファンの方はトイレに行く時間です」と言っていたが、このカバーが素晴らしかった。オーディションに落ち、目撃したエレカシのライブで受けた衝撃、そしてエレカシへのリスペクト……それがこのカバーから伝わってくる。しかも歌に呼ばれてか、アレンジがサイケデリックだったせいか、桜井の狂気的な部分が露呈し、本当に素晴らしいカバーとなった。


photo by 薮田修身

ライブの締めは「名もなき詩」。歌う前のMCで「今年になってのモチベーションはほぼ、今日だったので!」と言う桜井がハイテンションでそれにつられるように、サビで会場が割れんばかりの大合唱に。そして歌い終わった桜井は「エレカシ最高!」と叫びステージを去った。

この日、ミスチルのメンバーはエレカシへのリスペクトを表してなのか、全員が黒いジャケットを着ていた。そういう意味では地味な衣装だ。もちろん髪も立てていない。だが、エレカシをも超える勢いの圧倒的なテンションでさいたまスーパーアリーナを揺らした。そして、エレカシとの違う温度で人々の心を温かくした。なんと素晴らしく個性的なバンドだと思うほかなかった。

<セットリスト>
Mr.Children
「Everything (It’s you)」
「HANABI」
「innocent world」
「太陽ギラギラ」
「and I love you」
「here comes my love」
「himawari」
「名もなき詩」

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