監督・齊藤工、主演・高橋一生 フラットで自由な出会いの刺激と喜び|80年代生まれの焦燥と挑戦

映画「blank13」の監督・齊藤工(左)、主演・高橋一生(右)(Photo by Miho Fujiki)


ー高橋さん自身はフラットでありながらも、その時に高橋さんが感じられていたことは結果として齊藤監督をはじめ製作チームへ強く影響したということですね。既に共鳴した部分は作品に多く反映されているかとも思いますが、あらためて、お互いに感じる魅力やシンパシーを感じる部分について最後に教えてください。

齊藤:僕が一生さんに感じているものは年齢とかでは括れないですし、奥行きが果てしない方だと思う。多くのものがどんどん手前に、わかりやすく、という世界の中で、全く手前ではない、奥に魅力があってね。僕が並びにいさせていただていても、ちょっとなんか違うんです。

高橋:そんなことないです(笑)。

齊藤:いや、でもすごく映画的だし、詩的な方だなって。本人が表現を意識していない間にも、こちらがいろいろなものを思考や想像として増幅できる。日本の伝統芸能みたいな魅力がある。それは海外の映画祭でも、この作品を観た外国の方々の感情移入を見ていると、一生さんが作って下さっている心情的余白部分に、海を越え、いろんな方が自分の物語として作品を捉えてくださっていた。しかも一生さん、それが昔からあるんです。本当に、代わりがいない方だと思います。真似したくても、まったくもって届かない領域にいらっしゃる。

高橋:いや(笑)けれど、僕が工さんに感じるものもたぶん近いです。居住まい、だと思います。小手先で正すことはできない部分で、修正がきかない。人柄は肉体に出るし、顔に出ちゃうと僕は思っていて。お芝居ってじつは上手いも下手もなく、最終的には人柄なのだとも思うし、それは監督業も同じ。“俳優”って“人に非ず(にんべんに非=俳)”と書きますが、裏を返せば、人であることをちゃんとやっている人かどうかは、しっかりと俳優としての、監督としての居住まいにも出てしまう。僕がいろんなメディアで工さんを一方的に見ていた時すでに、本当に誠実な方なのだろうと感じていました。ご一緒できるかもと聞いた時点では、僕の実生活での状況と脚本の偶然にも近すぎる距離感に最初は戸惑いましたけれど「いや、工さんだったら」と。話した内容どうこうでない、ファーストインプレッションでしたし、それは意外と外れない。自分と合う・合わないはあれど、人柄ってやっぱり大事なのだって思わされました。工さんの人柄は、僕が愛せる人柄なんです、きっと。とても大事にしたい人。それは僕個人としてもだし、今後お芝居をしていく存在、監督をされていく存在という意味でも、とても大事にしたい方だと思っています。



高橋一生
1980年、東京都生まれ。数多くの映画、テレビドラマ、舞台で活躍。2012年には、舞台「4four」の演技で、第67回文化庁芸術祭賞演劇部門芸術祭新人賞を受賞した。近年はNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17)、テレビドラマ「民王」シリーズ(15〜16)、「カルテット」(17)、映画「3月のライオン」(17)、「嘘を愛する女」(18)など数々の話題作に出演し、圧倒的な支持と人気を獲得。17年10月からはNHK連続テレビ小説「わろてんか」に出演中。18年も本作のほか映画「空飛ぶタイヤ」、「億男」等、出演作の公開が続く。


齊藤工
1981 年、東京都生まれ。2012年、ショートムービー「サクライロ」で監督デビュー。14年、「半分ノ世界」が15年の国際エミー賞デジタル部門ノミネート、セルビア日本交換映画祭アイデンティティ賞など高い評価を受ける。その他監督作に「バランサー」(14)、ドキュメンタリー「Embellir」(15)、大橋トリオのMV「Cherry Pie」「PARODY」「サリー」(三部作)等がある。監督7作目にして初の長編となった「blank13」は上海国際映画祭でアジア新人賞部門最優秀新人監督賞を日本人俳優として初めて受賞。また、14年から、映画館のない地域に映画を届ける移動映画館プロジェクト「cinéma bird」も主催している。


『blank13』
監督:齊藤工
出演:高橋一生、松岡茉優、斎藤工、リリー・フランキーほか
全国順次公開中
http://www.blank13.com/

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