エリック・クラプトン新作ドキュメンタリー映画からわかる10のこと

エリック・クラプトンの新しいドキュメンタリー映画『Eric Clapton: Life in 12 Bars』(Photo by Getty Images / Courtesy of SHOWTIME)


1. ブルーズとの初めての出会いはラジオの子供向け番組だった

祖父母に育てられたクラプトンは「時折、孤独でいることがあった」と祖母は証言する。しかし彼は、BBCの子供向け番組『Uncle Mac』で寂しさを紛らした。「Uncle Macは土曜朝のラジオ番組で、子供向けのさまざまな音楽がかかっていた」とクラプトンは振り返る。「時々、ちょっと毛色の違った音楽がかかることがあり、そのひとつがブルーズだった。そんな音楽はほかでは聴いたことがなく、自分のための音楽だと感じた。すべての悩みや苦しみが吹き飛んだ」

しかし、彼の周囲の人間にはある意味で苦痛をもたらした。彼はギターを購入し、家で四六時中ギターの練習を始めたのだ。「夜中によく、騒音に悩まされたものだわ」と祖母は言う。「夜中の3時に彼は起き出して、ビッグ・ビル・ブルーンジーの曲を弾き始めたりしていたの」

2. ポップ音楽での成功には興味がなかった

1964年クラプトンは、ヤードバーズとしてクリスマス・イベントでプレイした。共演者の中にはザ・ビートルズもいたが、クラプトンにとっては彼らを目にすることに重要な意味があった。「ビートルズが現れた時、ファンの絶叫で何も聞こえなくなった。ステージ袖で見ていたが、彼らが既にこんなことは無意味だと思っていることがわかった。ジョージ・ハリスンは明らかに革新的なプレイヤーだったが、彼の弾く物悲しいパートは誰も聴いていなかった」

クラプトンは、自分たちのバンドにはビートルズのようなことは起こらないと思っていた。「ヤードバーズは、自分たちの目指すべき方向性をよく理解していると思っていた。有名になってテレビに出演し、ヒット曲を作ることではないはずだった」と彼は言う。1965年に『フォー・ユア・ラヴ』がヒットした時、「これはポップじゃないか!」とクラプトンは叫んだ。「僕らがやっていたのはすべて、当時の主流にすらなっていなかったブルーズ音楽だった。僕らがある意味パイオニアだったんだ。メンバーのヘアスタイルが、ビートルズに近づいていくのがわかった。もうこのバンドは終わりだと思った。ここにはいられない」と思った彼はバンドを見限った。バンドは、ヒット曲のプロモーションを続けなければならなかったが、リードギタリストが不在になった。

3. ギタリスト以外からも影響を受けたクラプトン

6弦の魔術師として有名なクラプトンだが、ギター以外からもインスピレーションを得てきた。「インド古典音楽のビスミッラー・カーンをよく聴いた」と彼は言う。「彼のリード楽器のようなサウンドをギターで出したかった。ギターで弾いてみたいと思うサウンドで最も大きな影響を受けたのは、リトル・ウォルターのハーモニカだ。アンプを通したサウンドは厚みがあって太く、メロディーがとても美しかった」

4. ギタープレイだけでなくレコーディング技術にも影響を与えた

ジョン・メイオールのバンドメンバーとしてレコーディングに参加するためにスタジオへ出向いた時、テクニシャンが「アンプから5cmのところにマイクを立ててくれ」と言うのを聞いて、クラプトンはイライラしていた。「クラブでの雰囲気を再現したいのなら、数cmではなく3m先の観客席で聴くようなセッティングをすべきだろう、と思っていた」

クラプトンはマイクを移動し、それが新しいものを目指すミュージシャンたちの注目を集めた。「すべてを変えた」とロジャー・ウォーターズは言う。「エリックが登場するまで、イギリスでのギタープレイは皆ザ・シャドウズのハンク・マーヴィンだった。とてもシンプルで、テクニックも不要だった。それが突然、まったく違うサウンドが耳に入ってきた。それ以前のどのレコードとも違うサウンドだった」

5. クリームは美しさを追究する上で刺激的だったが、個人的にはフラストレーションだった

ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーとクリームを結成した時、音楽的には当然非の打ちどころのないものだった。「彼らは12小節や8小節の形式に沿った曲をプレイする訳ではなかったが、ブルーズのフィーリングを備えていた」と、アトランティック・レコードのアーメット・アーティガンは言う。「新しい音楽だった。特にエリックのギターはね」

しかしメンバー同士の不和により、最終的にはグループを維持できなくなった。「毎日、ジャックとジンジャーは言い争いをしていた」とバンドのマネジャーは振り返る。「争いの内容はたいした問題ではなかった。ただふたりは激しく対立していた」 そして1968年、バンドは解散。クラプトンは既に次へ向かって動き出していた。

Translation by Smokva Tokyo

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