新たな反トランプ・キャンペーンを掲げたヒラリー・クリントンの誤算

2000年代中頃、ウォール街でモーゲージ担保証券の新たな販売方法が流行したことで、不動産市場に対する投機熱が異常に高まった。証券の流通は不法に行われることも多かった。

大手銀行が、リスクの高いサブプライムローン(低収入で信用力も低い人に貸し出す米国の住宅ローン)を買い占め、高利回りの新しい金融商品として売り出したのが始まりだった。


ヒラリー陣営による新たな反トランプ広告

当初、大手銀行は投資家たちに対し、このリスキーな金融商品を「わりと安全な投資である」と宣伝していた。しかし後に、年金基金、ヘッジファンド、ユニオン、ファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)までもが総崩れで、投資家たちは大打撃を被った。

住宅ローンの不良債権をハンバーガーのような抱き合わせ金融商品にして、Aランクのビーフとして機関投資家に売り出された。しかも不動産市場にあたかも需要があるように見せかけられていたため、市場に対する投機熱は益々高まることとなった。

数年間に渡りバブルは膨らみ続けたが、それは新規の投資家たちが次々と市場に流入したために、暫くの間は元々の投資家が破綻せずに済んだというカラクリだった。簡単に言うと、これは投資詐欺の一種(ポンジ・スキーム)だった。

つまり、2006年にトランプは確かに「バブルが弾けたら儲かる」という乱暴な発言をしたが、バブル崩壊の責任が彼にある訳ではない。バブルはいつか弾けるもので、甘い汁を吸っていたものはいつか必ず痛い目を見るのである。

市場崩壊の主な責任は、グレーな金融商品と知りながら積極的に投資した人々にある。例えばシティグループは大量のモーゲージ担保証券を販売したが、購入した投資家たちは口々に「買った証券の半分が紙くずになってもおかしくない。そうならないように祈るのみだ」と、かなりの危険を承知の上で資金を投入していた。

モーゲージ担保証券の不正販売に関する裁判では、多くの金融系企業が、被害を受けた投資家たちへ多額の和解金を支払うことに同意している。そのため、どの企業が不正に関わっていたかということは明らかになっている。

そのうちの4社は前出のシティグループのほか、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースであるが、これらはすべてヒラリー・クリントンの大口スポンサー上位6社に入っている。

今回のクリントンの広告は、バブル崩壊で大きな被害を受けた人々のことを表現している。多くの銀行もまた、金融の不正操作に対する多額の和解金の支払いに同意した。クリントンの大口スポンサーであるシティグループとJPモルガン・スタンレーは、250億ドルの和解金を支払うことに早々と合意している。

Translation by Smokva Tokyo

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE