2016年『ロックの殿堂』授賞式は、N.W.A.を除くと70年代後半に絶頂を迎えたロックバンドを称える式典となった。ここ数十年の間、ポップ・チャートを賑わすことなく、ツアーに精力を注いできたシカゴ、チープ・トリック、スティーヴ・ミラー・バンド、ディープ・パープル。そんな彼らが米ニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターで長年待ち続けた栄光をようやく手にし、ヒット曲をパフォーマンスした。
70年代半ばの雰囲気が漂うこの夜は、ザ・ルーツ、デイヴィッド・バーン、キンブラによるデヴィッド・ボウイ追悼パフォーマンスで幕を開けた。『フェイム』のファンキーなカヴァーが披露されたのだが、そもそもこの曲は、ザ・ルーツが3月31日のカーネギー・ホール、4月1日のラジオシティ・ミュージックホールで開催されたデヴィッド・ボウイ追悼コンサートで披露するはずの一曲だった。しかしグループは、バンドの機材の貸し借り問題でこれらのコンサートの出演を辞退していた。待望のザ・ルーツ参加のボウイ追悼パフォーマンスは、この後控えていた出演者に対してステージのハードルを上げる内容となっていた。
この日一番最初に受賞したのはディープ・パープルで、そのプレゼンターをメタリカのラーズ・ウルリッヒが務めた。ラーズはというと、ドラマーのイアン・ペイスの顔を自身の顔とすり替えたディープ・パープルの写真をベッド脇のテーブルに飾っているというほど、ヘヴィメタルの先駆者ディープ・パープルを尊敬してやまないことで知られている。「俺のバンドを含めて、ここ40年のハードロック・バンドはほとんどみんな、ブラック・サバス、レッド・ツェッペリン、そしてディープ・パープルの系譜をたどってきたんだ」こう話すメタリカのドラマーは、次のように続けた。「だから俺の心の中では、まあたくさんのミュージシャン仲間と何百万ものパープルのファンも賛成してくれるだろうけど、彼らがロックの殿堂入りするのにこんなに時間がかかったことに、正直少し戸惑ってるんだ」
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