ロックの殿堂入りを果たしたN.W.A、メンバーの受賞スピーチ全文

ロックの殿堂入りを祝う式典でエモーショナルなスピーチを披露したN.W.A (Photo by Theo Wargo/Getty Images)

「俺たちがロックン・ロールかどうかって?答えはもちろんイエスだ」ー アイス・キューブ

去る金曜の夜、アイス・キューブ、ドクター・ドレー、MCレン、DJイェラ、そして故イージー・Eの5人は、N.W.Aとしてロックの殿堂入りを果たした。長い歴史を持つロックの殿堂に名を連ねる数少ないラップ・グループのひとつとなることは、各メンバーにとっても大きな意味を持っていた。「俺たちの功績がようやく正当に評価されたと感じている」アイス・キューブは昨年ローリングストーン誌にそう語った。「N.W.Aが現在のシーンや音楽業界のありかたに大きな影響を及ぼしたということが、史実として認識されるようになったんだ。うまく言葉にできないけど、快挙であることは確かさ」また別のインタヴューで、彼は殿堂入りについて「ティップ・トップ(頂点を極めた)」と表現している。



同じくコンプトン出身のケンドリック・ラマーによるプレゼンテーションを受けて登場したN.W.Aのメンバーたちは、パフォーマンスこそなかったものの、壇上でそれぞれの率直な思いを語った。ブルックリンのバークレイ・センターに集まったオーディエンスを前に行った、各メンバーの受賞スピーチを以下に掲載する。





ドクター・ドレー
「努力すればどんな夢でも叶えられるということを、俺たちは証明してみせたんだ」



ブルックリン、調子はどうだ?ゴキゲンみたいだな、俺たちもそうさ。まず最初に、素晴らしいスピーチをしてくれたケンドリック・ラマーに感謝したい。彼は史上最高のラッパーの1人であり、将来きっとこの舞台に立つことになると俺は確信している。俺たちがN.W.Aを結成したのはちょうど30年前のことだ。当時は自分たちがロックの殿堂入りを果たすなんて思いもしなかった。俺たちはただ曲をレコーディングして楽しんでいるだけのキッズだったからな。





ここにいるメンバーは、俺が音楽をビジネスとして捉えるようになる前から活動を共にしてきた仲間たちだ。そんな時代があったなんて、今じゃ想像もつかないよな。この業界にいる人間、特に音楽を作っているアーティストたちは、それがいかにピュアな時代だったかってことが分かるはずだ。当時は俺たちのことを認めない連中が大勢いた。俺たちが発する言葉が気に食わなかったんだろうな。それも仕方ないさ、俺たちみたいな存在は過去にいなかったからな。ニガー・ウィズ・アティテュード(モノをいうニガーたち)なんていう名前からして衝撃的だったんだ。





だが、今夜俺たちは証明してみせた。コンプトンのような街で育ったキッズでも、大きなことを成し遂げられるんだってことを。ここに立っている俺たちがその証拠だ。俺たちは、今ストリートに生きているキッズたちと何ら変わらない存在だ。彼らに伝えたいこと、それは自分にしかできない何かを見つけ、情熱を持ってその才能を磨き続ければ、いつか世界を驚かせられるってことだ。周りの人間が何と言おうが、自分を信じるんだ。


Translation by Masaaki Yoshida

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