キッド・ロックという男の哲学:「俺はおじいちゃんになったことを楽しんでいる」

─今は亡き音楽業界のレジェンド、アーメット・アーティガンと親しい関係でしたが、彼からは何を学びましたか?

品格を保つことについてかなり学んだよ。女性との話し方や女性の両頬にキスする作法、「くたばれ」とか「クソ野郎」と言うべきタイミングや避けるべきタイミングについても。アーメットと俺は自分たちが望んだ通り下品であったし、思いつく限り楽しい時間を過ごし、彼はありのままに歳を重ねた。でもお偉方と過ごす時のアーメットはいつも「おい、今夜のディナーの席でトラブルはなしだ、いいな?俺に合わせろ!」って感じだった。

─では、ボブ・シーガーとの友情から学ぶことは何かありますか?

この業界でいかに潔く歳をとるのかというのは最重要課題のひとつだ。見ての通り、実現できていない人があまりにも多い。彼はありのままの姿で満足し、この業界で名を上げ、自分の成功を喜んでいる。他の年老いたロック・ミュージシャンたちは今でも常にスポットライトを浴びる必要があるようだ。彼らは仕事をして注目を集めたがり、家を出る支度を整えるのに3時間はかかる。そういうのは俺には悪夢に思える。だからボブ・シーガーを見ると、「この旅路で俺が見習いたいと思うのはこういう人間だ」と感じるんだ。

─つまり、あなたは年を重ねることで生じる出来事に抵抗したくないということですか?

俺は今、ボブ・シーガーやトム・ぺティ、ジョン・メレンキャンプのような局面に差し掛かっているところだ。これからも音楽をやっていくつもりだけれど、音楽が自分に与えてくれるレベルでやっていければ幸せだよ。俺は自分の時代が終わった時は潔く去るつもりだと常に言ってきた。文句を言って騒ぎ立てたりはしないし、抵抗もしないつもりだ。


出展:米・ローリングストーン誌1255号(2016年2月25日発売)

Translation by Shizuka De Luca

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE