レイヴェイが音楽観を大いに語る ジャズとクラシックの融合から生まれるロマンティシズム

ミュージカルからの影響「惹かれるのはシネマティックな音楽」

―あなたは度々グレート・アメリカン・ソングブックやジャズのスタンダードを取り上げたり、その影響について言及しています。それらの魅力はどんなところにあると思いますか?

レイヴェイ:私はメロディとコードのコンビネーションに魅力があると思っている。とにかくジャズの歪んだコードが好きで、綺麗すぎるポップなコードってちょっと退屈。音楽の美しさって音の緊張感にあると思うから。

それに私はミュージカルが大好き。ジャズ・スタンダードのボーカルパートはミュージカルを参考にしている。ミュージカルって数秒でメッセージを伝えなきゃならないから、歌詞はすべてストレートな表現になっているでしょ。何を食べてるとか、天気はどうとか、何を着てるだとか……情景がビビッドに想像できて、隠しごとがない感じ。それってロマンティックだなって思うから。

―特に好きな曲ってありますか?

レイヴェイ:ありすぎるから答えるのは無理! 強いてあげるなら、「Everything Happens to Me」は大好きな一曲で、TikTokで流れててもおかしくないような現代的な曲だなって思う。出かけたらいつも天気が悪いし、パーティーを開けば文句を言われるし、極めつけにはいつも間違った相手に恋する。何をやってもうまくいかない人生を書き連ねた歌詞はすごくセンチメントで、ロマンティック。他に好きな曲……うーん、ありすぎてまったく選べない。私にとって、これってすごくいじわるな質問だと思う(笑)。



―すみません(笑)。グレート・アメリカン・ソングブックに関して、あなたに影響を与えた作曲家でいうと誰になりますか?

レイヴェイ:私の影響源の大半はグレート・アメリカン・ソングブック。その中でも最も影響が大きいのは、ジョージ・ガーシュウィンとアイラ・ガーシュウィンかな。(ジョージ・)ガーシュウィンは、ジャズとクラシックの融合を成功させた作曲家だと思うから。彼は両方とも十分に理解していたから、どちらのコミュニティも彼を作曲家として認めていたし、二つのジャンルを行き来しても違和感を感じさせなかった。「ラプソディ・イン・ブルー」「ピアノ協奏曲」は名作だし、「But Not for Me」「Embraceable You」もジャズミュージシャンなら誰でも知っている。ちなみに、私のお気に入りのミュージカルは彼の書いた「巴里のアメリカ人」。

―どんなところが好きなんですか?

レイヴェイ:ストーリーが明快で、とてもロマンティック。なんたって舞台はパリ! 色彩豊かで、アバンギャルドな演出。クラシック・バレエの要素も含まれたモダンダンス、ジャズ、クラシック、すべてが詰め込まれた世界観が大好き。「But Not for Me」「'S Wonderful「Liza」と、お気に入りのジャズスタンダードばかり使われているしね。




―今、ミュージカルやダンスの話をされてましたが、映像的な音楽やストーリー、情景が見えるものに特に惹かれてきたのではないですか?

レイヴェイ:まさにそう。強く惹かれる音楽はある意味でシネマティック。それは映画音楽って意味じゃなくてね。映画音楽に関しては最近気になってるジャンルって感じ。壮大な風景ってやっぱり魅力的! 私はビジュアルから学ぶタイプだから。

―自分で曲を書く時も、視覚的な感覚やストーリーテリングを念頭に置いている?

レイヴェイ:ええ。すべての曲にはストーリーがある。特別意識しているわけじゃないけど、一枚の写真をもとに歌詞を書いていく感じ。そうやって曲を作っている。


サマーソニック大阪会場で撮影(Photo by Nicole Mago)

Translated by Kyoko Matsuda, Natsumi Ueda

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