Friko決定版インタビュー 「王道の名盤」をめざした高い志、衝撃デビュー作が起こした奇跡の裏側

ロックの可能性を押し広げていく存在に

―ブラック・ミディやブラック・カントリー・ニュー・ロードなどを輩出したサウスロンドンのシーンにも共感しているという話を読みましたが、どんなところが面白いと感じているのでしょうか?

ニコ:あのコミュニティ的な感じがいいなって思うし、それにロックの可能性を推し進めてるよね。ロックを活性化させて、新たな世代にとって新鮮なものにしてる。ブラック・ミディのやってることなんてまさにそうだと思うし、あるいはスクイッドにしろ、ブラック・カントリー・ニュー・ロードにしろね。ブラック・カントリー・ニュー・ロードとか、何年か前に聴いたとき、ほんと衝撃だったし、音そのものよりも感情的なレベルで刺さったというか。とにかくロックの可能性をガンガンに押し広げてる、それが見ててめちゃくちゃ気持ちいい。

ベイリー:わかる。一昔前は、ロックっていうと即座に王道クラシックのロックを思い浮かべたけど、今はロックンロールって色んな音楽が思い浮かぶもんね。今ってそのスペクトラムが思いっきり開かれてる気がする。そのおかげで、みんな新しい音にも寛容になってるっていう。

―シカゴに限らず、ここ数年でアメリカのインディから良いバンドがたくさん出てきてる印象があります。アメリカに暮らすあなたたちの実感として、何か変化を感じますか?

ニコ:こういうのって不謹慎かもしれないけど、コロナみたいな大きな出来事があって、その失われた何年間を巻き返すみたいな作用も働いてるのかな。また大人数で集まって、大音量で音を鳴らそう!思いっきり楽しもう!っていうのが。それと、コロナのロックダウン期間中に誰もが自分の内面とじっくり向き合って、一つのことに集中する時間を持てた、っていうのもあるし 。

ベイリー:そうだよね。今はツアーに出れるようになって、本当に幸せだなって思うもの。たくさんの人に会う機会に恵まれて。対バンとかじゃなくても、普通に友達とか、友達の友達とか、地元のシカゴ以外にもアメリカ国内でどんどん仲間が広がってるし。テキサスのオースティンにいるブロディ・プライスとかね。ライブきっかけで知り合ったんだけど、あの周辺シーンも最高にいい人たちで、ものすごく才能がある人ばっかり。もう本当に、たくさんの素晴らしいバンドがいてワクワクするし、どれも見逃せない!っていう感じ。



―では最後に、あなたたちが今後の目標としたいような、理想的なキャリアの積み方をしているアーティストを挙げるとすれば?

ニコ:なるほど……いや、それと同じことを自分でも考えてたんだよね。で、なんとなく、ミツキとかじゃないかなって。大尊敬してるんだ。だって、あれだけエモーショナルな音楽をやって、でも、音的にはものすごくシンプルにして力強い。しかも、ものすごく複雑な感情を歌ってるし。

ベイリー:私はパラモアだな。自分が10代前半の頃からずっと聴いてて、一時期離れてた時期もあったけど、それでも今また振り返ってみたら、いまだにあの頃と同じように現役で活動していて、しかもいまだに心からバンドを楽しんでることがヒシヒシと伝わってくる。それに、ジャンルに新たな風を巻き起こしてるし、今でも変わらずパワフルで圧倒的で、自分たちに嘘偽りない表現を一貫して貫いてて。でも、そんなの抜きにしても、これだけ長年やってるのに、「単純にバンドやってて楽しい!」っていう感じが伝わってくるのが凄い。ある意味、偉業だと思う。

ニコ:わかるなー。

ベイリー:すごく尊いし、美しいことだと思うよ。

ニコ:あとこれ、必ずしもハッピーな例ではないかもしれないけど、それでもやっぱり、レディオヘッドは最強だと思う。30年間も現役のまま、いまだに新規分野を開拓しながら毎回素晴らしい作品を作り続けてるところとか、憧れや尊敬っていう意味では、間違いなくトップ。まあ、幸せそうに見えるかどうかは別として(笑)。

―今日は長時間ありがとうございました。日本でライブを観られるのを楽しみにしてますね。

ニコ:うん、この夏には必ず!




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Translated by Ayako Takezawa

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