史上最高のギタリスト250選

35位 エリック・クラプトン / Eric Clapton

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60年代のブリティッシュ・ブルーズ・シーンに登場したエリック・クラプトンには、楽曲のみならずギターソロに関しても、キャッチーなメロディを作り出す独創的な才能があった。彼は、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズからアルバート・キング、オーティス・ラッシュまで、さまざまなブルーズにのめり込んだ。また、ウィントン・マルサリスとの共演で、ほぼ前エレクトリック時代の楽曲で構成されたアルバムを出したこともある。しかしクラプトンと言えば、妻(パティ・ボイド)が親友(ジョージ・ハリスン)に走った経験に基づく「Layla」や、まだ幼かった息子がアパートメントの窓から落ちて亡くなった悲しみを歌った「Tears in Heaven」など、実生活における悲劇にインスパイアされた作品が有名だ。今では誰も、彼のことを「ゴッド」と呼ぶことはなくなった(新型コロナウイルスのワクチンに関する発言のせいで、彼が全能の神ではないことが証明されてしまった)。しかしそれでも、彼のギタープレイを崇拝するギタリストは後を絶たない。





34位 ジェリー・ガルシア / Jerry Garcia

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15歳でギターを弾き始めたジェリー・ガルシアは、フォークとブルーグラスに夢中になる。それから生涯を通じてチャック・ベリーのファンでもあった。そういったルーツから、グレイトフル・デッドにおける、この世のものとは思えない実験的音楽につながる。カルロス・サンタナは「彼の弾くブルーズには、ブルーグラスとラヴィ・シャンカールがミックスされている。そこへさらにカントリーとスパニッシュが加わってくる」と表現した。グレイトフル・デッドのコンサートでガルシアは二度と同じフレーズを弾くことはなかった。だから、彼らのサイケデリックなライブにおけるエンドレスのジャムセッションも、飽きることなく聴き続けられたのだ。「それぞれの音には、遠近感があると思う」と、彼はかつてローリングストーン誌に語っている。「フロントとバック、そしてアタックとリリースというようにね。僕にはそれぞれの音がビジュアル的に見えるんだ。もし時間が許せば、自分のギターソロをすべて描いて見せたい」と語った。1972年8月27日は、ギター史に残る特別な日になった。その日ガルシアは、オレゴン州ベネタの野外ステージに集まった、日焼けしたヒッピーたちの目の前で空中浮遊して見せた。1995年にこの世を去った後もガルシアは、北へ向かう列車のヘッドライトとして輝きを放っている。





33位 ブライアン・メイ / Brian May

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天体物理学の博士号を持ったプロのギタリストなど、クイーンのリードギタリスト(兼ソングライター)の他にはいないだろう。彼は聡明で、常に新しいサウンドエフェクトを追求している。彼が最初に目指したのは、「正式な3パートのギターハーモニーを、初めて1枚のレコードに収めること」だった。「Killer Queen」のオーケストレーションされた泣きのギターソロなどで、目標を実現している。ブライアン・メイは、多くのギターパートをそれぞれ独立したトラックに録音し、豪華な宮殿の壁のようなサウンドを築いた。同時に、自分が弾く楽器も彼のイマジネーションから生まれたものだった。メインギターの「レッド・スペシャル(またの名を“オールド・レディ”)」は、60年代の初め頃に父親と一緒に自作したもので、材料となった木材の一部は、マントルピースに使われていたものを流用している(メイが、ピックの代わりに6ペンスコインを使って弾いていたのも有名な話だ)。「Bohemian Rhapsody」の目まぐるしく展開するトレブリーなギターソロから「Stone Cold Crazy」のプロトメタル的なリフまで、さまざまなギタープレイとサウンドが、このギターから生まれている。「どんなギタリストのサウンドでも真似できるつもりでいたが、ブライアン・メイだけは無理だった」とスティーヴ・ヴァイは言う。「彼は常に皆の上を行っている」。




32位 ジャック・ホワイト / Jack White

Griffin Lotz

ザ・ホワイト・ストライプスが、『De Stijl』(2000年)辺りから有名になり始めた時期は、異常なまでに音を作り込んだニューメタルや気だるくヘヴィな第2世代のグランジが、ギターロック界を席巻していた。ところがホワイト・ストライプスが、ノリが良く荒削りなガレージ・ブルーズ曲「Fell in Love With a Girl」をヒットさせると、状況はガラリと変わった。「Seven Nation Army」でジャック・ホワイトが繰り出す低音を効かせた重々しいイントロは、21世紀で最も耳に残るギターリフだろう。しかし彼自身は、過去の栄光にすがる気など全くないようだった。ソロアルバム『Blunderbuss』(2012年)のストーナー・ファンクやヒッピー・フォークから、ほとんどコミカルなまでに限界を超えてファズトーンを効かせた『Fear of the Dawn』(2022年)のサウンドまで、愛らしく時には気難しい音の探求者となった。ホワイトにしてみれば、ギターを持つたびに新たなチャレンジなのだ。「ギターソロをプレイするのは、僕にとって攻撃を仕掛けるのと同じだ。戦いであり、取っ組み合いの格闘なんだ」と2014年にローリングストーン誌のインタビューで語っている。「巨匠のように上手く弾こうなんて考えていない。ギターソロの途中で説明を求められても、“ここがF#で、ここがCだ”などと解説できる訳がない」。




31位 ジョージ・ハリソン / George Harrison

Max Scheler - K & K/Redferns/Getty Images

ジョージ・ハリスンはザ・ビートルズのメンバーとして、レコードを出すたびに新境地を開拓し、ギターの革新的な可能性を広げていった。彼は、ロックバンドにおけるリードギタリストの役割を確立しただけでなく、ギターという楽器をポップミュージックの中心へ据えた功労者でもある。リヴァプール(イングランド)時代の若きハリスンは、誰よりも熱心にひたすらギターの練習を重ね、いわばはったりのような形でビートルズへ加入した。少年時代のハリスンはロカビリーに夢中で、カール・パーキンスが彼のヒーローだった。そしてビートルズとしてキャヴァーン・クラブで演奏した「I Saw Her Standing There」では、熱狂的なギターソロを聴かせるまでに成長する。さらに彼の挑戦は留まることなく、インド音楽にインスパイアされたアルバム『Rubber Soul』から、サイケデリックな『Revolver』やエレガントな『Abbey Road』まで、一音も無駄にすることが無かった。「他の奴らがプレイしない隙間を埋めるのが、僕の役割さ」と語ったハリスンが、より深みのあるプレイで本領を発揮したのは、ビートルズの解散後だった。ソロアルバム『All Things Must Pass』や『Living in the Material World』では、見事なスライドギターを聴かせている。友人のトム・ペティは「(ハリスンのスライドギターは)まるで人の歌声のように聴こえる。すぐにハリスンだと分かる、彼自身の特徴ある歌声と同じなんだ」と語った。




Translated by Smokva Tokyo

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