明石在住の19歳MONONOKEが語る「東京」を描いた理由、変化した都会へのイメージ

―その中で「トーキョー・ジャーニー」というのはどういう位置付けなんですか?

この曲はもともと3枚目のアルバムに入れようと思って作ったものなんです。『トーキョー・アクアリウム』というタイトルで、東京のことを歌うアルバムなんですけど。それがこうしてメジャーのファーストシングルとして出るっていうおもしろさもあるなと思います。

―ちょっと未来から来たみたいな感じというか。

そうですね。時間軸を行ったり来たりする感じがある。



―東京をテーマにするというのはたくさんのアーティストがやってきていることですけど、MONONOKEさんの場合はそこにどういうものを感じたんですか?

これはその東京に初めて降り立って、渋谷のスクランブル交差点を渡ったときに……今までテレビの中で見ていた、たとえば朝の情報番組の天気のライブカメラみたいなイメージでしか体験していなかったことを自分の身で感じてみて、かなり衝撃を受けたというか、自分にとってすごく膨大なインプットになったんです。それをもって地元に帰ってきて、「東京の曲を作ってみたいな」と思ったのがきっかけです。でも自分を主人公にして歌うのはなんかおもしろくないなって思ったので、主人公を立てて話を作っていきました。

―MONONOKEさんは明石の出身ですけど、明石で見ていた東京のイメージと比べて、リアルな東京はどういうものでしたか?

思っていた以上にギラギラしていたというか。スクランブル交差点を歩いた時に、周りのビジョンみたいなのに映像がずっと流れていたりして、どこか浮世離れしている感じがしました。地元では全然体験できないようなことが東京にはいっぱいあって、イメージしていたものがいい意味でゲシュタルト崩壊したというか、そういうギャップもあって、曲を作りたいなって思ったのかなと。

―その「トーキョー・ジャーニー」は、すごくポップではありますけど、途中で急にテクノっぽくなったりもして、すごく不思議な構成を持った曲でもありますよね。サウンド面ではどういうことを考えながら作っていきました?

僕は80年代のダンスミュージックみたいなものがバックグラウンドにあって。ファーストでやった「room」でテクノとかファンクとかのダンスミュージックと現代の音楽のハイブリッド感みたいなものをうまく取り入れることができたので、今回もダンスミュージックと今の音楽、ボーカロイドだったりとか、電子音楽の今昔のハイブリッド感みたいなものを意識して作っていきましたね。デモの段階では80年代のダンスミュージックの雰囲気を入れていたんですけど、そこに今回サウンドプロデュースをやっていただいたESME MORIさんが現代音楽のアプローチを加えてくださって。ESMEさんと一緒にやることで、今のポップスのアプローチみたいなものをうまくアップデートできたんじゃないかと思いますね。



―そうやって外部のプロデューサーの視点が入ったというのもこの曲にとってすごく大きかったんじゃないかなと思います。『Supply/Demand』はどちらかといえば閉じている作品だったと思いますけど、「トーキョー・ジャーニー」はMONONOKEの音楽が初めて外気にさらされている感じがするというか。

そうですね。サウンドプロデュースしてもらったっていうのは、自分の中でもひとつ成長できたというか、可能性を感じました。

―歌っている内容も本当にそうですよね。東京に降り立って圧倒される感覚、混乱する感覚がそのまま出ていて。物事を俯瞰してみるのとは違うMONONOKEさんの姿が新鮮だなと思いました。これがメジャーの第一歩となったというのはすごくよかったんじゃないですか?

そうですね。この曲を持ってメジャーの世界に行けたっていうのは、自分にとっては強みになったんじゃないかなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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