エヴァネッセンスが語る『Fallen』20年目の真実、女性がロックに参加するための闘い

 
女性がロックに参加するための闘い

―先ほど、女性がロックに参加することは一般的ではなかったという話がありました。中でも、ヘヴィミュージックのジャンルは特にそうだったかもしれません。今と比べても圧倒的に女性が少なく、当時もフライリーフやパラモアなど数えるくらいしかいませんでしたよね。

エイミー:当時の経験は、私をファイターにしてくれた。自分がファイターだと思ったこともなかったし、そう感じてこの世界に入ったわけでもなかったけど、自分のDNAの中にあるものが引き出されたんだと思う。あと、臨機応変になれた。私は自分自身であることを保ちつつ、自分に与えられた一連の状況のおかげで、必要な人間になることもできたから。それらは、普通に生きているだけでは気づけなかった贈り物だと思っている。

―現代においては、ウィローやアシュニコ、ノヴァ・ツインズ、リナ・サワヤマなど、女性あるいはクィアなミュージシャンがニューメタルを取り入れる例も多いですよね。以前とは大きく価値観が変わった印象がありますが、最近のそういった傾向を見てどのようなことを感じますか?

エイミー:私が大好きなアーティストの名前をわざと挙げたんじゃない⁈ってくらい、私は全員の大ファン! 皆すごく変わっていて、クールで、友達みんなにおすすめしているくらい好き。ヘヴィミュージックを愛する女性たち、そしてその一部となりヘヴィミュージックを取り入れて自分自身のものにしたいと願う女性たちは、いつの時代にも存在する。そして、それを形にしている女性たちの数が多ければ多いほど、より多くの人々に夢を与えると思う。その手柄を立てたのは私だとは言わない。でも、この20年間、あらゆる角度からよりたくさんの多様性を目の当たりにしてきたことで、そういった歩みの一端を担えたことを誇りに思う。


Photo by Frank Veronsky

―エヴァネッセンスの初来日は2003年夏のフジロック、その翌年には大規模なジャパンツアーも実現しました。当時のことは何か覚えていますか?

エイミー:日本にはこれまで6回くらい行ったかな。初めてツアーで行ったのは21歳の時で、カメラを買ったのを覚えてる。当時はiPhoneなんてなかったから、撮影のために大きなビデオカメラを買った。時差ぼけと戦いながら、ホテルの部屋から窓の外にいる人たちを撮影したりした。冬だったから、雪の中を歩いている人たちをただただ見ていたの。あと、私は80年代の子だから、大好きなアニメやキャラクターは全部日本のものだったし、宮崎駿の大ファンでもある。キディランドにももちろん行ったし、友達や兄弟のために何百個もお土産を買って送った。それは今でもやってるけどね(笑)。日本に行くと、グッズとか服とか持って帰りたいものがたくさんあるから、いつも空のスーツケースを余分に持っていくようにしてる。

―もちろん、エヴァネッセンスは懐かしまれるだけの存在ではなく、今もトップランナーであり続けていますよね。バンドはこの先、どこへ向かおうとしているのでしょうか?

エイミー:どのアルバムでも、どんな音楽を作る時も、私は常に自分自身にオープンマインドでいることを許容してる。それが『Fallen』を生み出し、私たちのキャリアを築き上げてきた。既に存在しているものを再現しようとすることには興味がないし、好奇心旺盛で、興奮させられ、実験的で、無邪気で、どうしても作ってみたいという気持ちから生まれているのが私たちの音楽。私たちは多くの変化を経験してきた。トロイ(・マクローホーン)と私は17年間一緒にやってきたし、今はエマ(・アンザイ)が一緒にいる。彼女とは10年以上の付き合いだけど、本当に素晴らしいミュージシャンで、ついに私たちの仲間になってくれた。今の私たちは、お互いのことをよく理解していて、その相乗効果という美しい方法で音楽を作ることができる状態にある。だから、ツアーもちょうど終わったところだし、音楽制作というこれからのクリエイティブな段階がすごく楽しみ。小さなアイディアがあって、それを形にするのが本当に待ちきれない!






エヴァネッセンス
『Fallen (20th Anniversary Deluxe Edition) 』
発売中
再生・購入:https://found.ee/594We

Translated by Miho Haraguchi

 
 
 
 

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