ニルヴァーナ『In Utero』30周年 チェロ奏者が初めて明かす参加の経緯、制作の舞台裏

その後の人生、当時のチェロはどこへ?

—レコーディング後も、音楽はやめなかったんですよね?

シェイリー:ええ。ジョージア州のアセンズという街で「マーター&ピストル」というバンドをしていました。友人がバーのオーナーだったので、何の予告もなしに突然機材を準備して、お客さんの前で演奏していました(笑)。でも、しばらく楽器は弾いていません。腰痛がひどくて。

—そうなんですね。残念です。

シェイリー:腰痛のせいで、ちょっと億劫になってしまったんです。でも、また再開するかもしれません。わからないけど。



—『In Utero』のレコーディングで弾いたチェロは、いまもお持ちですか?

シェイリー:ちょうど、そのことを考えていたんです。あるとき、ニューヨークにいる友人からハガキが届いて、「きみとベニヤ板のチェロの幸運を祈る」というメッセージで終わっていたんです。昔、自分のチェロはベニヤ板でできている気がする、と友人たちによく冗談を言っていたからだと思います。8年生のときに母親が買ってくれたものなのですが、学生向けの安いチェロだったので、そんなふうに思っていたのかもしれません。8年くらい、ケースにしまったままの状態で、屋根裏かどこかにあると思います。かわいそうにね。8年間は弾いていないと思います。

—シェイリーさんご自身はいたって冷静ですが、50年後も誰かが「All Apologies」のあなたのチェロの音色に耳を傾けていると思います。

シェイリー:そうですね。そうそう、最近パステルカラーのニルヴァーナTシャツを着ている若い人たちをよく見かけるのですが、流行ってるの?

—めちゃくちゃ流行ってますよ。

シェイリー:そうなんですね。この前なんて、女の子ふたりに「ニルヴァーナ好きなの?」と声をかけてしまいました。13歳くらいかな。すごく恥ずかしそうに「ニルヴァーナのことは知らないけど、(Tシャツが)かわいいと思ったから」と答えてくれました。先日もニルヴァーナTシャツを着ていた男性に声をかけると、その人は大ファンでした。すごく嬉しかったですね。

—ニルヴァーナのメンバーと一緒に演奏したことがある、と教えてあげましたか?

シェイリー:ええ。すると、「へぇ、すごいね」と言ってくれました。でも、びっくり仰天って感じではなかったですね。「すごいな。声かけてもらえて嬉しかったです。かっこいいな」と言っていました(笑)。

【関連記事】ニルヴァーナ『In Utero』知られざる20の真実

From Rolling Stone US.




ニルヴァーナ
『In Utero - 30周年記念スーパー・デラックス・エディション』5CD(限定盤)¥38,500(税込)
『In Utero - 30周年記念デラックス・エディション』2CD(通常盤)¥3,960(税込)
日本盤のみSHM-CD仕様
再生・購入:https://umj.lnk.to/NirvanaInUtero

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE