LEXが語る、新曲「Rico」に込めた意識の変化、ヒップホップ枠の中で体現するロックスター像

ロックへの憧憬

ー2曲目の「King Of Everything」はビートが3段階スイッチされていておもしろいですね。もともと1つのビートだったんですか?

全部違うビートです。VLOTとタイで作りました。VLOTにどういう曲作りたい?って言われて、僕は、普通のことがしたくないっていう話をして。新しいことに挑戦したかったので、3曲レコーディングして、それを上手くすり合わせた感じですね。クイーンの影響が大きかったっす。昔、3分以内で収まる曲が普通の音楽業界の中で、クイーンが6分以上ある長い曲をリリースして、っていうところから影響を受けたっすね。ちょうど『ボヘミアン・ラプソディ』を見てたんですよ。



ーそうだったんですね。自分はてっきりトラヴィス・スコットとかヒップホップの流れから来ているのかと思ってました。

LEX:確かに。個人的にはトラヴィスは最近聴いてないし。ヒップホップもあんまり聴かないです。ハマりだした頃は熱心に聴いてましたけど、ヒップホップだけ聴いてると全部同じに聞こえるんすよ。だからこそ、新しい分野からいろいろ取り入れてます。あとは昔から親の影響で、ニルヴァーナとか、レディオヘッドとかのロックが好きだった影響もあると思います。

ーなるほど。基礎的なラップスキル以外に、ロックボーカリストから受ける影響ってありますか?

LEX:あります。年々増えてきてます。自分がヒップホップでいられるのか心配です。激しさの中から垣間見える優しさというか。そういう歌い方は、カート・コバーンもそうですし、ポスト・マローンの新作とかもそうですし、取り入れてますね。ヒップホップ枠の中で僕はロックスターを目指してます。それもヒップホップなんです。

ー「King of Everything」の途中、「俺がやりたいのはこういうのじゃない」ってセリフが挟まってからビートが変わりますが、これはどうやって生まれたアイデアなんですか? 曲の一部を自分で否定している?

LEX:確かに、それは考えたことなかった。なんか自分の性格的っすかね。僕、どういう判断をしても結局後悔してんすよ。結構気分屋なんです。さっきまでやりたいって思ってたことも、なんかもうやりたくない。そういう性格から出てきた言葉なのかな。曲の内容を否定してるわけではないです。

ー8月30日にリリースされた最新シングル「Rico」についても聞かせてください。

LEX:これは自分の中でも本当に新しい曲です。その頃ずっとスタジオに入っていなかったのに、誰かに曲作れよって言われたわけでもなく、どこかから気持ちが湧き出してきて、久しぶりにスタジオの椅子に座って書きました。



ー“Rico”っていうのは、どんな意味が込められたタイトルなんですか?

LEX:僕はクイーンっていう柴犬を飼ってるんですけど、その柴犬の両親からもらった本名が“Rico姫”って名前で、そこから取りました。初めて出会ったときに、ペットショップで超臆病そうな見た目だったんです。でも、周りのわんちゃんが吠えても部屋の隅っこでスンってしていて。だからこの子はクイーンって名付けようと思って。

ーなるほど。MVを見たのもあって、わんちゃんだったとは盲点でした。でもそれを聞いてしっくり来ました。

LEX:そうですよね。一緒に飼ってた人が別れてしまっていなくなってしまったんで、「じゃあ俺ら、これからどう生きようか。でもお互い生きなきゃなクイーン」っていう意味が込められた歌詞です。

ーリリックの<でも今あるこれが家>っていうのはどういう意味なのでしょうか。

LEX:その頃はやっぱりそういう問題もありましたし、何も信じらんねえ、みたいな。不満もあるし不安もあるしクソみたいな気分だけど、でも今あるここが僕の家なんだっていう少し落ち着いた気持ちを書きました。自分があの曲で一番好きなラインです。

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