米ポルノ女優、ハリウッド俳優に助言「これからの時代は個人で稼ぐ」

アダルト女優シェエリー・デヴィル(CHERIE DEVILLE)

米ポルノ業界のスーパースター、シェリー・デヴィルが、ハリウッド俳優にOnlyFansのビジネスモデルをまねるよう提案した記事をRolling Stoneに寄稿した。

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役者たちは今かつてないほど稼いでいる。俳優組合(SAG-AFTRA)や脚本家組合(WGA)のストライキのニュースをつぶさに追っている人にはショックかもしれない。だがここでいう役者とは、メインストリームのハリウッド俳優ではない。私が言っているのは「もうひとつのハリウッド」――ポルノ業界のことだ。IT大手のおかげで、ポルノ業界は財政的に再び息を盛り返している。

とはいえ、メインストリームのメディアでは、OnlyFansやPornhubといった企業のぼったくりという恐ろしい記事を見聞きする。例えばAnlker社のpodcast『Martini Shot』――驚くなかれ非ポルノ系のPodcastだ――の司会を務める映画界の重鎮ロブ・ロング氏は、ハリウッドのビジネスモデルはやがてOnlyFansのビジネス構造に似てくるだろうと警鐘を鳴らした。多くの記者同様ロング氏も、OnlyFansがポルノ業界を牛耳っていると考えている。OnlyFansは数千万ドル規模で稼いでいるのに、役者の懐に入るのはごくわずかだと。同氏の意見は半分当たっている。たしかにDisney+やMaxなど大手ストリーミング企業と違って、OnlyFansは数億ドル相当の収益をあげている。だが役者もまた、サンフェルナンド・バレー史上かつてない収入を得ているのだ。

アダルト俳優の財布事情を理解するには、OnlyFans前後で業界の仕組みがどう変わったのかを理解する必要がある。20年前のアダルト業界は、ディズニーやワーナーブラザーズなどの映画会社がハリウッドを牛耳っていたように、制作スタジオがサンフェルナンド・バレーを仕切っていた。役者は大手ポルノ会社の下請けで撮影に臨み、会社がビデオやDVDとして全米で販売していた。ポルノ業界はハリウッドに先駆けてホームビデオに力を入れ、DVDもポルノ業界のプロデューサーが一足先に手をつけ、ハリウッドが後から追従した。だがハリウッド俳優と違い、アダルト俳優には組合がなかったため、俳優はDVDの売上から印税を得ることができなかった。スタジオから支払われるギャラは1日平均1000ドル。収入を補うために、大半のアダルト女優はストリップクラブで単発のアルバイトやエスコート嬢をしていた。


2023年7月14日、ニューヨーク市のNBCユニバーサル前でピケを張る全米脚本家組合と俳優組合の組合員(IMOTHY A. CLARY/AFP VIA GETTY IMAGES)

こうした図式は動画サイトが登場するまで続いた。当初こうした動画サイトはNapsterなどを運営し、役者の許可なく勝手にコンテンツを借用してストリーミングした。そのうちのひとつPornhubが業界を独占すると、役者らはアダルト業界の崩壊を危惧した。ありがたいことにPornhubはギャラの支払いをはじめ、おかげで役者らはNetflix以上にユーザーを抱えるプラットフォーム上で動画を販売することができるようになった。NapsterからSpotifyに移行したのと同じだ。以来、手ごろな価格の最新テクノロジーのおかげで役者自らコンテンツを撮影・編集し、Pornhubに投稿する作品の所有権を握ることができるようになった。

OnlyFansが立ち上がるとさらに収入源が増えた。コンテンツの所有権が自分にあるため、アダルトコンテンツに喜んで金を払うユーザーがより多く集まるOnlyFansでも販売が可能だった。従来のポルノスタジオが苦労する中、最終的に役者たちはスタジオ側よりも稼げるようになった。自分のコンテンツを自分で所有しているので、組合はいらない。私たちはパフォーマーであると同時に、オーナーなのだ。

OnlyFansのビジネスモデルは、悩みを抱えるハリウッド俳優にも適用できるだろう――しかも今よりずっと上手く回るはずだ。俳優本人が脚本を書き、監督し、販売するようになれば、彼らの収入ももっと上がるだろう。

Akiko Kato

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