米ポルノ女優、ハリウッド俳優に助言「これからの時代は個人で稼ぐ」

否定的な人々は、OnlyFansが役者の収入の20%を手数料として取っていると指摘する。だがハリウッドではエージェントが収入の10%、弁護士が5%、マネージャーが15%の手数料を取っている。そこからさらに税金が引かれ、俳優の手元には30%しか残らない。


2022年11月16日、イギリスのロンドンで行われたOnlyFans主催のチャリティ撮影会にて タブレットに映し出されたOnlyFansのロゴ(JOHN PHILLIPS/GETTY IMAGES FOR ONLYFANS)

もちろん簡単だとは言わない。第一に、伝統的なハリウッドのコンテンツはポルノよりもずっと金がかかるし、映画やTV番組はポルノよりも長尺だ。だが非アダルト系動画プラットフォームでYouTubeが独走状態であることから、消費者が短編動画を好んでいることは明らかだ。内容が面白ければ低予算のコンテンツが消費者に受け入れられることは、TikTokも証明している。

ハリウッドのお偉方はQuibiでの失敗を指摘するが、あれは短編動画の悪いお手本だった。リーズ・ウェザースプーンがナレーションを務める有料の動物ものドキュメンタリーを見たがるZ世代がどこにいるだろう? あれは若者の思考をベビーブーマー世代が勝手に解釈したものだった。TikTokがハリウッドの牙城を切り崩しているというのに、Quibiに力を入れるなど狂気の沙汰だ。ポルノ界のビジネスモデルが上手くいくのはソーシャルメディアで大量のフォロワーを抱えている俳優だけだ、と言うエージェントもいるかもしれない。だがLAのレストランでWMEエージェントの隣に座って憂き目を味わった人ならご存じの通り、大手エージェントもフォロワーを大勢抱えていない人間とは契約したがらない。OnlyFans式のビジネスモデルは、消費者の動向の現実と未来を見据えたものといえる。

もちろん、コンテンツの製作や所有にはリスクがつきものだ。失敗した場合、役者がすべて責任を負うことになる。損害賠償や保険など、ふつうなら映画会社が対処する問題を自分で処理しなければならない。だが投資の鉄則にもあるように、リスクが大きければリターンも大きい。役者が自分の作品から利益を得たいなら、苦労は承知の上で作品を所有するべきだ。

中には組合に所属するのを好む人もいるだろう。組合もかつては安定していた。だが仮に組合側が勝利したとしても、ハリウッドの雇用体系がこの先も安泰とは思えない。スタジオ側はいまだに、再放送に伴う印税の支払い体系を公表するのをためらっている。経済情報通信社ブルームバーグも報じているように、エンターテインメント業界の利益はこの10年で90%も減少した。OnlyFansのモデルに従えば、将来懐がホクホクになるだけでなく、生計を維持するという意味でも最善策ではないだろうか。ポルノ俳優のやり方をまねるなど虫唾が走る、という人もいるだろう。だがハリウッドは常に私たちの業界をまねてきた。スタジオ側ではなく、一度ぐらい俳優のほうからまねてみてはどうだろう? ひょっとしたら、俳優の皆さんもようやく分け前に預かれるかもしれない。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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