BLOODEST SAXOPHONEが壊した自分達の価値観、クリスタル・トーマスと共作を語る

―先日行われた主催イベント「Snuck 宇宙」の時に披露されたクリスタルからメッセージ動画で彼女は、「Thank You (Thank You Granddad)」が一番のお気に入り曲と言っていました。

この曲は、もともと4thアルバム『growlin’the B』(2007年)に入れた曲で、すごく良い曲だなって思っていたんですけど、そのバージョンにまだ可能性があると思っていて、いつか英語圏のシンガーと組んでやりたいと思っていたんです。クリスタルには、「大切な家族のことを歌ってほしい」ということだけを伝えて歌詞を書いてもらいました。クリスタルが語り出したとき、僕はミキシングルームで聴いていたんですけど、ゾクゾクして「やった、夢が叶った!」っていう感じでした。

―こういう語りをする曲って、あまり日本人はやらないですよね。

そうですね。やっぱり洋楽をルーツとしてやっている音楽である以上、絶対英語の方がカッコイイと思うんですよ。日本語だと独特のいなたさがあってそれはそれで良いんですけど。この曲のアレンジには2つパターンを考えていて、もう1つはジェームス・ブラウンが「Please Please Please」のライブバージョンでやるマントショーのイメージでやったら面白いかなと思っていたんです。

―収録されているバージョンとはまったく違うニュアンスですね。

それもアイデアとしてはありかなと思っていたんですけど、今回収録した形が一番やりたかった形です。

―オーティス・ラッシュ「SIT DOWN BABY」はかなりディープな曲のカバーですね。

原曲はかなり素っ頓狂ですよね(笑)。あれは厳密に言ったら前の晩に食べたものとかその場のスタジオの雰囲気とかが全部合わさってのあの感じなので、それをマニアックにカバーしても絶対自己満足を超えることはないですし、かと言って洗練させるのはブラサキじゃないので、これはすごく考え抜きました。そして、ゲスト参加の青木ケイタがフルートを吹いたことで最高の出来になりました。

―最後の最後までフルートだけ残ってるのが、とある曲で忌野清志郎が吹いているフルートを思い出しました(笑)。

ああ~! kiyoshiro meets de-ga-show『Hospital』ですね。最後、清志郎さんが「あれっ?」って言って終わるやつ。あれは最高ですよね。そこは意識してなかったですけど、言われてみれば本当だ(笑)。それはすごく嬉しいです。

―制作期間は半年ぐらいだったそうですけど、その間にこれだけ様々なアイデアを具現化しているのはすごいですよ。

今回、すごく頼もしかったのが、メンバーが完全に僕を自由にしてくれたんですよ。何も言わないんですけど、「やっちゃえよ!」っていう気持ちがひしひしと伝わってきたんです。それで自由に気持ち良く制作することができました。

―アルバム発売にあたって土屋公平さんから【「GOOD MORNING」によせて】というコメントが公開されていますが、アルバムの魅力を的確に表した愛のある文章でした。


<土屋公平 作品コメント>
「GOOD MORNING」によせて
甲田伸太郎率いるジャンプ系スイング・バンド、ブラサキの最新作を拝聴しました。
テキサス録音盤!かっこいいよね。
モダン・ジャンプとでも言おうか懐かしい佇まいのホーン・アレンジにクリスタルさんの安定感抜群なソウルフルな歌い口、伸太郎のエグ味溢れるテナーが絡まりアルバム通してまったりと楽しめる。曲調は様々だがアルバム全体を覆っているのはある種の柔らかさ。
ホーン中心のサウンドにありがちな耳を直撃する痛い金属音は皆無。
倍音たっぷりで聴かせるアナログの情感が心地良い。
リズム&ブルース・マナーの妙技を振るうブラサキの演奏は今回も秀逸で、
洒落たアクセントとして時折スポットの当たるギターも甘くファンキーでいいよね。
長~く聴ける愛聴盤が一枚増えました。
豊かな時間をありがとうブラサキ!
土屋公平


公平さんとの出会いは、池畑潤二さんのセッションに参加させていただいたときに、公平さんがスペシャルゲストで出演して、楽屋でご挨拶させていただいたんです。その後、公平さんが中島美嘉さんとバンドMIKA RANMARUを組むことになったときに声を掛けてくださって、そこから本格的にご一緒させてもらうようになって、今年6月には公平さんのソロライブにも呼んでいただいて参加しました。そういうご縁もあってコメントをいただけて、本当に嬉しいです。


土屋公平 私的モード録音盤Vol.14 
[I'm Back with Boogie! Live at STAR PINE'S CAFE]
※甲田"ヤングコーン"伸太郎が参加した土屋公平のライブアルバムが2023.9.16発売決定

―ジャケットの写真もタイトルとリンクしている印象です。ここはどんな場所なんですか?


『GOOD MORNING』ジャケット画像

多摩川の上に架かっている丸子橋なんですけど、この橋の上でもう10何年練習しているんです。先日もここで練習していたら通りがかりの女性に「すごく滑らかで良くなりましたね」って声を掛けられました(笑)。コロナ禍で時間ができてたくさん練習していたんですけど、その頃から度々写真を撮ってSNSに載せていたんです。

―なるほど、伸太郎さんが撮った写真が使われているんですね。

そうなんです。僕にはジャケットに自分が撮った練習中の写真を使うっていう発想はなかったんですけど、長年手伝ってくれているスタッフから「これでいきましょう」っていうアイデアをもらって、メンバーも「最高じゃん!」って言ってくれたので。

―『GOOD MORNING』というタイトルもあって、朝日が昇ってまたここから新しく始まるぞっていう意思も感じさせます。

そういう想いはあります。『GOOD MORNING』って、“おはよう”っていう朝の挨拶だけじゃなくて、光が差し込んでくる、希望があるようなニュアンスをイメージしているんです。メンバーも変わって心機一転というのもおかしいですけど、この『GOOD MORNING』という作品を使って、もっと高いところまでのし上がろうよっていう気持ちは強く持ってますし、“丸子橋から世界へ”という意味も込めて、このタイトルとジャケットにしました。

―このアルバムを携えて、今後はどんな活動をしていきたいですか。

1人でも多くの方に生で聴いていただける機会を実現したいです。先ほど、表題曲「GOOD MORNING」は「ブラサキとクリスタルが組んでグラミー賞を獲るならどんな曲か」と「フェスで気持ち良くなる曲」という2つのテーマがあるとお話しましたけど、グラミー賞の方はスタッフに頑張ってもらうとして(笑)、フェスに出てみんなで気持ち良くなりたいなと思います。それと、クリスタルを呼んでアルバムに収録した曲を日本でもライブでやりたいと思っていますし、「イーストサイド・キングズ・フェスティヴァル」で共演したスタン・モズリーも呼んでライブをやりたいです。クリスタルとモズリーはそれぞれ個性も違いますし、面白いことになるんじゃないかなって。是非実現させたいですね。





<リリース情報>



BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS
『GOOD MORNING』
BLOODEST SAXOPHONE 甲田 “ヤングコーン” 伸太郎プロデュース作品
発売日:2023年7月21日
品番:STREC-006 
価格 ¥3300(税抜価格 ¥3000)
企画:日暮泰文、髙地明  
LABEL:Mr. Daddy-O Records 
発売・販売元:SOUL TWIST INC.
=収録曲=
1. Mailman's Sack
2. I Don't Need You No More
3. Undercover Of The Night
4. Dinah
5. Good Morning 
6. Somebody Else's Man
7. Oh Baby  
8. Country Girl 
9. I'm Not In Love
10. Johnnie Taylor Medley (Just A Happy Song 〜I Love To Make Love When It's Raining〜Hello Sundown)
11. Mammer Jammer
12. Sit Down Baby
13. Let's Love In The Moonlight
14. Thank You (Thank You Granddad)
15. Dinah  ※ボーナストラック日本語バージョン

<ライブ情報>

無敵のぶらさきpart2
2023年8月25日(金)大分 無敵のおやじ
open 18:00 / start 19:00
charge 2500円(1drink付)
出演:
パンツエクストラ
ザ・スキャフォニックス
ブラッデスト・サキソフォン
ーDJー
ファッツ
アキラ
DJ MIYAKO
ーフードー
壱番鶏
ー音響ー
別府カッパーレイブンス


2023年8月26日(土)熊本ONE DROP
open 19:00 / start 19:30
adv 3000円 / day 4000円(1drink order)
出演:
Sally the Husky(from鹿児島)
Bloodest Saxophone
ーDJー
DJ MIYAKO
ーSpecial Supportedー
阿蘇の酒れいざん 山村酒造

Guilty Leather Factory presents
Bloodest Saxophone
2023年8月27日(日)玖珠 NEW ELLEGANCE
open 17:00 / start 18:00
adv 3500円 / day 4000円(1drink order)
出演:
Bloodest Saxophone
ーDJー
SLAP HAPPY
DJ MIYAKO

2023年9月24日(日)HUB浅草
Open 17:00 / Close 21:30
1st Stage 18:00〜18:40
2nd Stage 19:10〜19:50
3rd Stage 20:20〜21:00
※3rdステージのみノーチャージ
※入れ替え制ではありません
Charge 2750yen(inTAX)
ー予約受付中ー
HUB ASAKUSA 03-3843-1254
※受付時間 13:00〜17:00
もしくはGoogleフォームからご予約頂けます
https://docs.google.com/.../1FAIpQLSe7Gy6cCvLSlE.../viewform

ブラサキプレゼンツ "Snuck宇宙"@BERTH ONE 開催決定!
2023年10月6日(金)
詳細決まり次第発表。


Photo by Nao Shimizu

最新情報は、オフィシャルHPとFacebookにて
https://bloodest-saxophone.com
https://www.facebook.com/BloodestSaxophone

Rolling Stone Japan 編集部

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