「売春婦養成コース」で女性たちを洗脳、極右インフルエンサーの人身売買手口 英

ルーマニア政府から性的人身売買の容疑を駆けられているアンドリュー・テイト 本人は容疑を全面否定(AP PHOTO/ANDREEA ALEXANDRU)

2022年12月、性的人身売買の容疑で極右インフルエンサーのアンドリュー・テイトがルーマニア当局から逮捕された。その際ルーマニアの組織犯罪テロリスト捜査局(DIICOT)は、テイトと弟のトリスタンが交際を匂わせて女性たちをブカレストのマンションに誘い込む、いわゆる「ラバーボーイ手法」で女性たちに風俗仕事を強要したと主張した。テイトはパートナーに風俗を強要したことは一度もないとして、一貫して無罪を主張。最近もタッカー・カールソンとのインタビューで、自分には女性にオンラインコンテンツを無理矢理作成させる「金銭的動機はひとつもない」と語った。

【画像を観る】「性奴隷」にされた自己啓発団体の被害者たち

新たに流出したのはテイトが運営する男性専用会員制ネットワークWar Roomで2021年にやり取りされたメッセージのスクリーンショットで、テイトの主張を苦しいものにしている。War Roomに詳しい情報筋が本物であるとローリングストーン誌に証言したメッセージによると、テイトは恋人の1人を言いくるめて風俗仕事をやらせたと得意げに話しているようだ。

ルーマニア検察はその女性(ローリングストーン誌では本名の記載を控える)をテイトの人身売買事業の被害者として位置付けているが、女性本人は再三にわたって否定している。ローリングストーン誌はその女性にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。

テイトの広報担当者はローリングストーン誌に宛てた声明の中で、「問題のスクリーンショット」で言及されている女性が「テイト兄弟から不当な扱いは一切受けていないと全面的かつ公然と主張しており」、スクリーンショットの流出はテイト兄弟に対する誹謗中傷の一例だと述べた。「兄弟を犯罪者よばわりする被害者の発言は、何の疑問もなく世間から全面的に受け入れられているのに、兄弟の無実を証明する証拠はそこまで公正に扱われていません」と広報担当者は述べた。

メッセージから浮かびあがるのは、毒々しく、時に不快感を催させるプロセスの全容だ。テイトは若い女性に目をつけて、嘘とマインドコントロールと強制戦術を織り交ぜて自分の命令に従わせ、そのやりとりを仲間への教材にして意見を募っていたと思われる。

2022年12月、テイトと弟トリスタン(流出したWar Roomのチャットにも名前が出てくる)はブカレストで逮捕され、人身売買、強姦、組織犯罪の容疑で拘束された。現在も自宅軟禁下に置かれている。ブカレストにあるテイト兄弟のマンションが最初に家宅捜査を受けたのは、アメリカ人女性とモルドバ人女性がアメリカ大使館に電話をかけたのがきっかけだった。2人は嘘の口実でマンションに誘われ、テイト兄弟の懐を潤すために卑猥なオンラインコンテンツを作成するよう強制されたという。この件に関し、テイト兄弟は断固否定している。

以前ローリングストーン誌が報じたように、テイト兄弟がリーダーを務めるWar Roomは会員限定のソーシャルネットワークで、Telegramのチャンネルではメンバーにセックスと男性らしさを伝授していた。テイトの仲間はWar Roomを単なる無害な自己啓発グループとみなしているが、War Roomに詳しい情報筋は、女性に風俗仕事を強制するためのフォーラムとして機能していたと主張している。

ローリングストーン誌が入手したスクリーンショットは、現在は削除さえたテイトの「売春婦養成課程」、War Room博士号というチャンネルからの抜粋と思われる(現在削除された博士課程webサイトの紹介文には、「俺の仕事は女と出会い……俺の言うことを何でもきくところまでホレさせて、一緒に金持ちになろうぜと言ってwebカムをやらせること」と書かれている)。

2021年6月付のメッセージには、「テイト」――アンドリュー・テイトがTelegramのチャットでWar Roomメンバーとのやり取りに使っていたハンドルネーム――を名乗るユーザーが、女性パートナーに求める美徳を並べるところから始まる。「何のとりえもない、ひたすら従順な平均的バカ女を連れてこい」とテイト。「基本的に俺は女を従順度で判断する。従順な女は逃げたりしない。結果的にこちらの望むことを何でもする」。

Rolling Stone Japan 編集部

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