J-POPの歴史「1996年と97年、フジロック誕生、新しい存在や流れの台頭」



この辺はおぼろげになってるんで、ひょっとしたら事実と違うのかもしれないんですが、山崎まさよしさんを新宿のルミネ劇場で見たときにオープニングで出たのがスガシカオさんだったんじゃないかな。スガさんのデビュー曲「ヒットチャートをかけぬけろ」が、ちょうどこの97年の2月ですからね。そういうタイミングだったんだと思います。オフィスオーガスタっていう新しい制作会社がこっから台頭してくる。ちゃんと音楽を作るんだっていうことを自分たちの旗印に掲げた制作会社。90年代後半ですね。

シンガーソングライターの人たちが頑張ってる一方で、松田聖子さん、安室奈美恵さん2人に共通点がありまして、出産を経験してる。聖子さんは80年代でしたけども、安室さんは97年に結婚を発表して、そのとき既に妊娠していた。で、また復帰するわけですね。70年代のアイドル、山口百恵さんのように、結婚で引退っていう選択はなかったですね。ママドルっていうのを、松田聖子さん安室奈美恵さん、この2人が確立させました。それはアイドルだけじゃないんです。そういう自分の出産経験を歌にしたということで、名作を残したシンガーソングライターもいまして。次の曲はその人ですね。UA。98年の『アメトラ』っていうアルバムは、出産後のアルバム。妊娠してるときのことを歌にしてるんですけど、それだと来週なっちゃうんで、今週は96年の代表曲をお届けしようと思います。



1996年6月発売、UAの「情熱」をお聴きいただいてます。アルバムが96年10月に出た『11』ですね。このアルバムはMONDO GROSSOの大沢伸一さんとか、LITTLE CREATURESの青柳拓次さんとか、いわゆるポップス系とはちょっと違うオルタナティブなところで活動してたクラブ系ミュージシャンっていうんでしょうか、そういう人たちがたくさん参加してましたね。

これはだからどうってことではないんですが、UAのデビューときのプレスリリースを僕が書いているんです。R&B、吉田美和さんとかそういう人たちの流れの中での新しい流れだって書いた記憶がありますね。

京都の美術短大。映像をやりたかった人なんですけども、音楽の方に進んでいった。UAという名前はスワヒリ語ですね。アフリカの「花」と「死」という意味が込められてる。デビュー当時のビジュアルも、アフリカの大地をイメージしたような民族衣装なような格好をしてました。2000年代に入ってから彼女は沖縄とかカナダとか、長野県の八ヶ岳とか移り住んだ。ヒッピー的ですね。そこでお子さんも出産して、母性というのを音楽に残しながら至っております。70年代のエッセンスをピュアな形で継承している1人でしょうね。

Rolling Stone Japan 編集部

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