J-POPの歴史「1998年と99年、百花繚乱の90年代後半と幸せな結末」



LUNA SEA、98年のアルバム『SHINE』から「STORM」。LUNA SEAは96年に1回活動をお休みして、97年にソロ活動をして、98年からまたバンドに戻った。そのときのアルバムがこの『SHINE』ですね。そして99年1月に、アジアツアーを行ったんですね、台湾と香港と上海。「音楽と人」という雑誌の取材で3ヶ所同行しました。面白かったですね。CHAGE and ASKAのアジアツアーとは違う緊迫感がありましたね。

ビジュアル系というカテゴリーがアジアにはなかった。髪の毛を染めてる人たちがこの街にもいるんだっていう発見が、とっても面白かったですね。香港は失神する人たちが続々でした。5月30日、彼らの結成記念日の翌日、東京ビッグサイトで「NEVER SOLD OUT」という10万人のコンサートがあったんですね。3日前に台風が直撃してステージが倒壊したんです。その倒壊したステージを借景にして演奏した。これは前代未聞でしたね。彼らは、俺たちはビジュアル系じゃないって言ってましたね。アジアツアーの記者会見で必ず聞かれるんですね。ビジュアル系って何ですか? 俺たちはビジュアル系じゃありませんって必ず言ってました。見かけだけで判断しないでくれと。

GLAYの後にLUNA SEAをおかけしたのは理由がありまして、99年12月23日、東京ドームでGLAYとLUNA SEAが対バンしたんですね。史上最大の対バンでしたね。タイトルは「the Millennium Eve A Christmas present for the people who love live a lot」。ミレニアム。90年代の終わりですね。そういう終わりにふさわしい曲は何なんだろうと思って選んだのがこの曲です。大滝詠一さん「幸せな結末」。



1997年11月発売、大滝詠一さんの「幸せな結末」。98年の年間チャートの24位だったんですね。「幸せの結末」のカップリングが「Happy Endで始めよう」というタイトルでした。1枚のシングルで、終わりと始まりを歌ったんですね。大滝さんらしいユーモアといいますか、ウィットといいますか。大滝さんのシングルは85年の『フィヨルドの少女 / バチェラー・ガール』のA面シングル以来12年ぶりですね。

80年代っていうのは、元はっぴいえんど組=松本隆さん、大滝詠一さん、細野晴臣さん、鈴木茂さん。その4人がいろんな形で時代を作ってきた。90年代は次の世代にバトンタッチされた。バンドもそうです。女性シンガーソングライターもそうです。路上の人たちもそうだし、リズムアンドブルースも違う形で流れが始まりましたね。

そういう流れの中で、90年代の終わりに大滝詠一さんのこの「幸せな結末」が大ヒットした。ミレニアムの99年12月31日カレンダーが変わるときにパソコンが誤作動するっていうような噂もありました。誤作動もなく、空前の好景気の中で90年代が終わったんですね。幸せな結末でありました。

Rolling Stone Japan 編集部

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